司書独言

○月○日/ 年が明けて久し振りに温泉に行った。晩酌しながら、TVで「初めてのお使い」を観た。笑わされて、泣かされて忙しかったが、観た後で「あれか?」と思い出した事があった

3歳か、4歳の男児だったと思が「ブドウ」の「シャインマスカット」を買いに行かされる。男児は八百屋について、回らない舌で「シャインマスカット」と言う。これがどうしてか八百屋に通じない。何度も言うがだめだと言う話。

○月○日 / これを観ながら昨年11月末にでた記事を思い出したのだ。それは、石川産の高級ぶどう「ルビーロマン」が海外に流出していると言う問題。1995年から10年以上かけて開発された独自ブランドだが、この苗木が流出しているのだと言う。」これと同じなのが、「シャインマスカッット」1996年頃に流出したそうな。農水省によると、これ、国内の育成者が品種登録していれば、受取れた許諾料が100億円以上にも上ると試算する由。流出した先の中国の栽培面積は日本の約30倍くらいに及ぶというから聞いて呆れる。行政も、農家も、しっかりせなな。何故手をこまねいているのか。

○月○日/  東京外語大の仏文学の篠田浩一郎が昨年12月25日94歳で死んだ。それで、書庫から篠田訳のジュール・ミシュレの「魔女」(上下1967年刊)を出してきた。他に、ポール・ニザン。「アデン・アラビア」(晶文社)なぞもある。ニザンと言えば昔、慶應仏文出の北海道新聞社の記者が、転勤で室蘭になって、挨拶に来て話し合っている時、卒論の話になって、ポール・ニザンを  やったと言うので、「へえ、ニザンなら晶文社の選集を持っている」と言うと、「今までの取材で、ポール・ニザンを知っている人は初めてです」と言った事を思い出す。

◯月◯日/ ミシュレの本では「ジャンヌ・ダルク」があるが、ここでは篠田訳ではない森井他訳を(1987年刊)出しておく。序で

2008年8月17日の「ジャンヌは男だった?」(本の話NO503)も出しておく。いい思い出だ。

◯月◯日 / 死んだと言えば、ドイツ近代史の同志社大学の望田幸男が新年に入って、6日に91歳で死んだ。それで、又書庫に入って「ナチスの国の過去と現在」(2004年刊)と「ナチス追求」(1990年刊)をだし て来た。後者には、国連事務総長だったクルト・ワルトハイムや、指揮者のヘルベルト・フォン・カラヤンのナチスとの関わりが論じられている。カラヤンが1955年アメリカのボルチモアで演奏した時客は25人しかいなかっった。カラヤンとナチのかかわりを知った市民がカラヤンを嫌ったのだ。

又書庫に入って「ナチスの国の過去と現在」(2004年刊)と「ナチス追求」(1990年刊)をだして来た。後者には、国連事務総長だったクルト・ワルトハイムや、指揮者のヘルベルト・フォン・カラヤンのナチスとの関わりが論じられている。カラヤンが1955年アメリカのボルチモアで演奏した時客は25人しかいなかっった。カラヤンと那智のかかわりを知った市民がカラヤンを嫌ったのだ。

○月○日/  私はカラヤンはロクデナシだと思っているが、いい機会だからここに望田も引用しているカラヤン批判のローベルト・C.バッハマンの「カラヤン」を出しておく。カラヤンのこの問題については、室工大官舎住まいの頃、よく飲みに来た数学の山口教授と語り合ったものだが、山口さんは定年になったとたんに死んでしまた。早い死だったなあ。

○月○日/ 元旦の新聞に「世田谷一家殺害22年」の見出しで、副見出しが、「遺族”解決急いで”」の記事が出た。よく知られた事件だと思うから説明はしないが、当時44歳で死んだ宮澤みきお氏の母、節子さん(91歳)が一家の墓参りをして云々。節子さん曰く「年が年ですから、私がはっきりしている間に”なぜ”ということだけでも知りたい。警視庁はこれまでに延べ約29万人を投入して捜査を続けている由。

◯月◯日/ ここで誰しもが(でないかもしれぬが)思い出す本がある.2006年6月28日に草思社から出た斎藤寅のその名もズバリの「世田谷一家殺人事件」だ。これ25万部刷られたベストセラー。斎藤は、犯人は「アジア系留学生を中心とする犯罪集団(クリミナル・グループ)」だとはっきりと言い、現場に残された多くの指紋が、この連中のものとピッタリ一致すると言う。更に母親が言う「なぜか」については、それは宮澤家が持っている金のインゴット(鋳塊ちゅうかい)だと言う。然し、犯人をそしてその犯罪の目的をもかくの如に明記した本があるのに、何故警視庁は犯人をあげられないのか。それは、どうもこのノンフィクション本が信用ならない本だからのようだ。この本は斎藤が初めて宮澤家を訪ねた時に応対した母、節子さんの言葉から始まるのだが、節子さんの記憶では、そんな会話を斎藤と交わしたことがない、と言うのだから、初っ端から信用できないと言う訳だ。よって書影は出さない。只こう言う本もあるぞと言う意味で出しておく。犯人が捕まるのを祈るのみ。

◯月◯日/ 1月14日のニュースだが、「野球殿堂博物館」の今年の殿堂入りのメンバーが発表された。私は中学、高校と野球部にいて正選手だったが、プロ野球は1回しか見たことがない。その一回というのは、中学三年の時だったか、ジャイアンツとセネターズ(だったか)が室蘭に来て、新日鉄野球場で試合をした。その前日東宝劇場で選手とファンの交流会があり、私達北辰中学校の野球部の何人かが選手の前にプラカードを持って立たされた。私が誰の前だったかは忘れたが、川上や大下が壇上からサインボールを投げていた。翌日招待された。試合当日はスタルヒンがホームランを打った。

◯月◯日/ 要するにこの試合がプロ野球を見た唯一の経験。それで、今回殿堂入りしたラミレスやバースなる選手は知らない。只このニュースが目に付いたのは、アマチュア対象の特別表彰で作曲家の古関裕而の名があったからだ。この名前に私は違和感がある。私の棚には古関係の本が4.5冊あるがその書影をあげる代わりに、2020年8月1日付け「本の話」no810「戦争責任に頰被り」を出しておく。古関対する違和感がが分かる筈だ。今回は書影も多いのでここで止める。

 

 

 

 

 

 

2023.1.17 山下敏明

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