司書独言(148)

2014.2月寄稿

○月○日 ハンニバルと言えばローマを苦しめたカルタゴの将軍、カルタゴはフェニキア人の要塞都市で守護神が女神チュニス、この「チュニスの国」がなまって今のチュニジアだが、1月26日に新憲法法案が通って、ベンジャアフル議長曰く、「今日は誇りをもって歴史に刻まれる日となった」と。この憲法中々goodなものだとのこと。極東の我が国では「世界文化遺産」に、との声も出る程の誇るべき憲法を改正、と「もったいない」ことをしようとしている。変な国だ。

○月○日 ニュージーランドの国旗は、宗主国英国の「ユニオンジャック」だが、今時時代錯誤だとて、国旗変更を目指すとの記事が2月初旬に出た。実に尤も至極だと思う。一方、極東の変な国では対米従属が過ぎて、そのうち憲法のみならず国旗も変更、いやそれで治まらず、星条旗の星の一つになっちゃうんじゃないかしらん。

○月○日 先月号で、米議会図書館がピンチだ、軍事費に押さえられているからだと書いたが、そのあと元国立国会図書館員・山崎元の同趣旨の文章が某紙に出た。レーガンが軍事費捻出のため議会図書館員300人の首を切り、夜間開館停止,本代大削減と出た時、館長ブースティンが、これまで2世紀を費やして作り上げた図書館は、10年で崩壊、20年で壊滅すると訴え、「歴史家たちは、軍事費に3,000億ドル支出できる国民が、知識に対して1,800万ドル使うことが出来なかったことを必ず書き記すでしょう」と言い、又知識を過小評価する国家は自由ではあり得ません」と主張したことを紹介している。

大統領のみならず、市町村長も傾聴すべき論ではなかろうか。因みに私は1995年4月19日の「あんな本・こんな本、No70」でこの山崎の「発掘,昭和史のはざまで」(新日本出版)を取り上げた。(http://t-yamasita.info/を参照)

○月○日 「空き屋対策,国が指針」と新聞に出ている。我が町内も空き屋は5.6軒ではきかぬ。近くの家も親が孤独死で、子どもが帰って来たいのだが、室蘭では職無しでダメ。先記の見出しのあとに「税制措置もり込む」とあるが、自治体の方はどうなのか。空き屋は商店街ばかりではない。小林一茶の「雪ちるや きのうは見えぬ明家札」は、隣家の夜逃げを詠っているが、当節は夜逃げでは事すまぬ。

○月○日 カザフスタンの大統領が「モンゴル」スタンが付いてないから魅力的、よって我が国もスタンを取ってカザフ人の国の意の「カザフェリ」にしようと言い出した。事の是非を判断する材料を持たぬが、カザフとは英語でコサック=農奴制や宗教的迫害から逃れた自由民の事。プーシキンの名作「大尉の娘」で有名な民だ。カザフはよく言えば反逆者、悪く言えばはぐれ者。このまんまでいいんじゃないのかなあ。映画で「娘」に扮したダニエル・ダリュウは奇麗だったなあ。

○月○日 武者絵で有名な津軽凧が、戦争中はには禁止されたという事を新聞で知った。風を切るブンブンの音が戦闘機の音と紛らわしいと言うのが理由だと。御時勢だ。室蘭の礼文凧も妙な事にならぬとも限らんて。

○月○日 ヒトラーの「我が闘争』では、黄色民族たる我が日本国民をも馬鹿にしておったが、太平洋戦争中に邦訳された時は、巧妙にそこの所を外していた。この馬鹿げた本の著作権は今,ヒトラーが住居登録していたバイエルン州が保有して、厳密樽学術的注釈を付けた者以外は、一部であっても発行禁止になっている。当たり前だと思っているが、たまげた事に、事もあろーにこの邪悪な妄想家ヒトラーの『生誕125周年記念パーティー」を開き「偉大なる総統閣下が生誕された日に、皆でワインを飲みながら語らいましょう」と馬鹿としか思えない発案をする者が出てきた。「新風」なる維新政党の瀬戸弘幸が当人。これドイツなら即、入獄だな。ネオ・ナチどころの段ではない。まるで劇画の世界だ。この記事切り抜いて、私はアントワーヌ・ヴィトキーヌ著「我が闘争がたどった数奇な運命」(河出)に挟んだ。

○月○日 劇画と言えば、「特定秘密保護法」で、今まで一番以外で面白かったのは、どうみても右翼の劇画家・小林よしのりの意見。

尖閣諸島沖の中国漁船衝突の映像を、海上保安官が流出させたのを例に彼曰く、「(皆も)”よくやった”喜んだでしょ。わしも喜びましたよ。公務員の罰則が強化されれば、あんなことなくなる。保守だから賛成なんて言っている場合じゃない〜秘密にさわればわしも逮捕されるんですか」〜ときて、結論「戦前みたいにならない、とみんなタカをくくってないか」と正論だ。

○月○日 台北の故宮博物館がアジアでは日本が初めての展覧会を決めてくれた。今迄は日本に持ってくれば中国政府が展示物の所有権を主張し、差し押さえを求める可能性もあってダメだったが、それを防ぐ法整備が日本側で出来てOKとなったもの。

日本側は郭煕の「早春図」を希望したが、破損の恐れありで最初断られたが、紆余曲折あって可能となり、合わせて超国宝級の孫過庭(そんかてい)の「書譜」と王羲之(おうぎし)の

「定武本蘭亭序」がくる。この3点全部「ふくろう文庫」に既にあるので6月東京開催前に室蘭での「プレ展」を考えている。乞う、ご期待!!

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