司書独言(96)

`09.8月寄稿

○月○日  十勝のレロレロ酩酊元大臣が、日本国のために断酒を誓った、と新聞にでている。何と大袈裟かつ恩着せがましい事か。有体は失職を恐れる自分の為だろうが。靴を投げられたあの馬鹿ブッシュはその後匙を投げられて引っ込んだが、飲酒運転、窃盗、乱闘で逮捕歴3回と言う男だ。この強者は40才のバースデーパーティに乱酔して、あろうことか一番恐れているパパブッシュに絡んでしまった。

そして翌朝、ロッキー山脈に断酒を誓った。国の為なぞと言うエセ国士より、まだ可愛気があると言えるが、ロッキーにしても、日本国にしても内心呆れているんではあるまいか

○月○日 狂牛病さわぎの時、時事川柳に「牛肉で支持率あげたブッシュ来る」てのがあったが、実は自国の牛はさておいて、大好きなのは神戸牛で、事あるごとに「Mr小泉と食べた神戸牛は最高だったなあ」とのたもうていた由。そりゃそうだよな、狂牛病の牛は人に食わせても自分ではたべたくないよなあ。

○月○日 同じ頃でたもう一つの時事川柳は「ブッシュには金閣よりも広島だ」だった。その広島で、国語力ゼロの麻生が又やった。曰く、「一命をとりとめた方も、癒す事ことのできないしょうせきを残す事になりました」

Can    you  understand   this   しょうせき??  。これは実は傷跡で、きずあとのこと。痕跡(こんせき)とは言っても、傷跡(しょうせき)とは言わぬ。いとも気楽に間違えて、麻生は未だ原爆がもたらした傷(心身両面の)に苦しむ人達の心に更なる「しょうせき」をすり込んだ訳だ。

○月○日 音楽評論家の遠山一行が自費を投じて設立した音楽財団付属図書館の後身たる「日本近代音楽館」が来月3月末で閉館と決まった由。言うまでもないが、行政の支えが一切と言っていい程なかったからで、我が国の文化行政の貧困を物語る以外の何者でもない。しかし喜ばしいことにこの山田耕筰やら清瀬保二やら芥川也寸志やら武満徹など蒼々たる連中を初めとする約120人の作曲家の筆譜など約50万点の資料を、すっぽり明治学院大学が引き取って、整理の上でいずれ一般公開すると言う。

私は普段,小・中・高・大学を問わず、自分の出身校に殆ど感心がないが、今度ばかりは我が出身高の同大学が、この件を受けて、良き役目を果たしたということは大いに嬉しく誇らしい。

○月○日 「のりピー」こと酒井法子が薬物汚染で逮捕された。何年前だったか「我が倅の嫁にしたい女性」とか言うアンケート調査で、人の好いとうさん達の支持を受けて一番となったのが、確かこの女で、このテの顔が好きでない私は下らぬことよと思いつつ、その記事を読んでいたが、今回一番呆れたのは「何故逮捕したのか」と言う抗議の電話が警視庁に数多くあったと言う報道。もう一つ呆れたのは、「自分が身代わりになるから出してやって」という電話も数多かったと言う話。鶴見俊輔の発言に、確か「戦争が始まった時に、我が子は戦争には出せぬ」と息子を抱きしめた、或いは「息子の代わりにこの私を」と言った母親達が皆無だった事を指摘し嘆くものがあったと記憶するが、この「のリピー」の馬鹿ファン(恐らく女の)達は、事「有事」の場合でも、国の機関に「私を子供の代わりに戦場に送れ」と言う抗議の電話をする気概はあるんだろうか?この連中にしてみれば、それとこれとは話が違うと言う事なんだろうな。

○月○日 東海地震はこの地震の比ではないとされた8月の静岡の地震は、それでも震度6弱で、その被害の中に“本に埋もれて女性が死亡”と言うのがあった。マンションの一室で大量の本の下になり、仰向けで死亡との事で、胸部圧迫による窒息死の由。そう言えば数ヶ月前にも原因が地震だったかどうかは忘れたが、同様の事が男性に起きたとの記事があった。他人事とは言ってられぬがさりとて....。

○月○日 黒川紀章設計(だよな)になる国立新美術館に去年からフェルメールだ何だで両3度通った。近くには森美術館もあるし、ミッドタウンの中にも、先日ピカソをやった新サントリー美術館が入ってルシ、...便利な所だと思っていたが、ナントナントこのこの国立新美術館の隣りが米軍のへり基地だそうな。しかも、それは都立青山公園内だと言う。全く知らなかったが、只・只、呆れるのみ。例えばルーブル美術館の横に軍隊の基地を作るだろうか。「人類の宝とも言うべき芸術作品、芸術を楽しむ市民の安全・安心」の為には、美術館上空を飛んで呉れるな、なおかつヘリ基地は出ていってくれとの意見書が、文科省宛に出された由。あたり前だ。

○月○日 早稲田大学でロシア文学を教えたワルラーワ・ブブノワ(1886〜1983)が1925年に描いたとされる「イコン=聖像画』が、お茶の水ニコライ堂で発見された由(5月2日付け記事)。私はこの人の石版画が好きで、コジューヴェニコワ著「ブブノワさんという人-日本に住んだロシア人画家-」(群像社)と、1987年12月銀座の「秀友画廊」で開かれた「ブブノワ作品』の30ページばかりの小ちゃな図録を大事にしているが、研究者に言わせると、旧ソ連で前衛芸術家だったブブノワが弾圧されていたロシア正教のイコンを描くのは不思議だ、と。来る11月28日に「ワンコイン美術講座」のテーマとして、「イコン画家・山下りん」を取り上げる私にとっては、時宣を得たいい話だ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください