司書独言(104)

`10.4.寄稿

○月○日  昨年暮れ、鹿児島の阿久根市の竹原信一なる市長が経営者相手の講演会で、障害者に触れ、「社会は木を育てるようにしなければ〜」と延べ、更に社会を作るには、「壊死した足は切り取らないと〜全体が死ぬ」と言った由。この論が正しいとしたら、一番先に刈り込まねばならぬのは、この男ではあるまいか。

○月○日 「パスキア」と言えばアメリカはニューヨークを中心に活躍(1980年代)した現代画家だが、三重県は南伊勢市にある「伊勢現代美術館」の館長が 1989年に1,500万円で買った、この画家の「エレーヌ」が、2007年のサザンビーズのオークションで2億2000万円で売れたのを隠し、約6,000万円を脱税したそうな。この行為だけでこの男は美術愛好者じゃないと思われざるを得ないね。普通なら金が出来たなら今迄欲しくてもガマンしていたもの=絵を買うと言う風に出ると思うんだけどね.自分で買った物を、自分で転売するのは外からとやかく言えぬにしても、その金でよりよいものを蒐めて見せてくれるんでなければ、美術館ではなくて言うなれば隠し金庫みたいなもんだな。

○月○日  今人気の「蟹工船」の作者・小林多喜二の伝記を書いた作者・手塚英孝に「落ち葉をまく庭」なる短編があって、話は全国から自腹で集まる皇居清掃団が、落ち葉を一回きれいに掃(さら)って後、拾った落ち葉の中から色よく形よしを抜きだして、それを両陛下が見て、風情あると感ずるように、敢えて自然体に再度バラマクと言った筋で、一読おろかなことよと思ったものだが、昨年末、これに似ているのか似ていないのか、判断に苦しむようなことが、某地で起きた.それは、老人会で町の清掃を長いことやっているが、ゴミが殆ど無くなった.それで、これは効果があったと言う事だから、もう止めてもよかろうとの意見が出た。ところが待ったをかける人間が出て来てその人が言うには、こうやって皆で集まるのを楽しみにしているのだから、この集まりを続けようとて、空き缶やら何やらを事前にそこらにまいておいて、さあ始めましょうとてゴミ拾いをやる由で、投書者は、そこまでやる必要があるのか?と世間に問うって、イヤ訴えておる.????変わった出来事だと思うが、その投書、確か朝日の12月にあった筈.私は何だか呆れてしまって切り抜かなかったが、この話本当かいなと疑う向きは朝日を見てたもれ。

○月○日  作家にして東京都知事が又やってくれた。北京五輪に出かけて夫婦で条例の規定2〜4万を超え一泊24万円のホテルに泊まった上、妻君に4万円余の支度料を出したと言う。「再挑戦、五輪招致は私費でやれ」なる川柳が某紙に出てたが、この非常識な人間を止める人が傍らに誰も居らぬか。作家の副知事も、もう一寸しっかりしていると思ったけど、彼も単なる地位ハンターだったのか.都知事の方は行った先でヨットに乗るわ、水に潜るわ、とやっている。やはり某紙に「懲りないね、また五輪だと言い出した」なる川柳があったが、副知事も元ボクサーの建築家までも五輪賛成と言うはガッカリした。又又某紙の川柳を借りると「有識者、よく集めたねイエスマン」と言うところか。腐った枝を切らねばならん方式の先の市長流にいえば、この作家にして知事は最優先順位だな。

○月○日  やくみつる、の書いたものによると、朝青龍の横綱昇進に異を唱えていた内館牧子の任期満了に伴って、ナント朝青龍が内館の後任に野村沙知代をリクエストしていたと言う.リクエスト出来る立場か、そして柄と言いたいが、その相手が沙知代とは?「類は友を呼ぶ」てのは全く本当だな。

○月○日  もう40年余も昔、清水の次郎長の墓を見に行った事があるが、全国のヤクザ共が験(げん)をかついでその墓を削っていくので、墓そのものは、そっちゃ欠け・こっちゃ欠けで、まあみすぼらしい物となっておったが、去年だったか、一昨年だったか地元の指定暴力団が「清水一家」を名乗ろうとした所、次郎長さんの名を汚すとて、市民が警察に名乗り中止を要請したことがあった。その後どうなったのか結論は、見落としがなければ、未だ目にしていないが、次郎長ってのはそんなに偉いのかね。国定忠次義俗説を否定した歴史家の田村栄太郎はその著、「一揆・雲助/博徒』で、ヤクザはいつから表社会で偉そうな顔が出来ることになったか。ヤクザはヤクザであって、良き市民ではないのだ、てな事を言ってた(筈)だが、田村が、この騒ぎを知ったら、どんな反応をするだろう。地元民は、次郎長はやヤクザはヤクザでも黒駒勝蔵とは人間が違うとでもおもっているんだろうがな。それにしてもヤクザの面目を保とうとて、善良なる市民が警察に願い出ると言うのは本末転倒の発想だなあ。

○月○日  4月10日・11日と一泊二日で函館・松前へ総勢30人余で行って来た。「ふくろう文庫ワンコイン美術講座』で講じた山下りんのイコンを観るための修学旅行だ.室蘭民報の高橋結香記者が同行したので、その旅行記が5月連休に紙面を飾るのを楽しみにしているところだ。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください