司書独言(228)

◯月◯日/ これを書いている今日は3月11日。室蘭ではまだ残雪だが、京都では梅が散り始めているとのニュースだ。平安京の守り神たる城南宮では、散った梅の花びらが絨毯のようになっている所へ、これ又点々と散った椿の花が彩りを添える。この2つが揃った光景が続く間を「惜梅」と言うそうな。辞書にもない言葉だ。初めて知った。いい美しいい言葉だなあ。

◯月◯日/ 美しいと言えば丸川珠代なる女、どこやらの国際会議に出て「アジアン・ビューティ」と呼ばれたそうな。これを自民党のナンタラという男の馬鹿議員が国会で嬉々として報告してた。ところが、この「アジアン・ビューティ」どうも褒め言葉ではなくて、幾分さげすみの要素があるとの話が出てきた。となると、ふざけた話で喜んだ男がコケにされている訳だ。

◯月◯日/ ふざけたと言えばこの丸川、国会に上下真白の衣装で現れたくせに、その実態は「選択的夫婦別性」に反対の女だ。反対の証拠に自民党国会議員50人が同党の地方議会議長宛に出した同制度導入に反対するよう求める意見書に自ら署名している。何故ふざけたと言えるのかと言うと、この上下の衣装は米では参政権運動の象徴とされていて、男女の性差別を解消しようとする側が着るのが今や常識だからだ。つまり、丸川は自分の主張とは違った服を着ているチグハグな女だということ。丸川には白を着る権利はないということだ。

◯月◯日/ 岩手県の九戸村には人語を解し天気や、運勢を占う「オドデ様」まる神がいて、その姿は上半身がフクロウ、下半身が人間だそうな。50年近くフクロウのあれこれを蒐めてた私ながら、この神様は知らなかった。水木しげるの「日本妖怪辞典」にもでていない。もっともこれ、妖怪でなはいもんな。

◯月◯日/ 幼馴染の泰子からバレンタインデーに紹興酒をもらったので、お返しに「ミモザ」の花束を届けた。ところで「ミモザの日」と言うのがある。3月8日の事で、1908年3月8日に米国で女性労働者が参政権を求めてデモをした日の記念だ。これを背景にして1977年に国連が女性の地位向上訴える日として定めた。丸川になぞ「モミザ」の花びら一片でももったいない。そう言えば昔、大女優フランソワーズ・ロゼーが主演の名作「モミザ館」があったなあ。因みにモミザは本来「おじぎそう」の事だが、日本ではハナカシアが演芸関係者の間で間違って「モミザ」と呼ばれている。

◯月◯日/ 2017年、苫小牧市立図書館は「図書館流通センターに」民間委託されたが、その直後、苫小牧警察所が或る利用者の貸し出しや予約の記録の提供を求めると、令状がないにもかかわらず。これに応じた。私はそれを知って、これは図書館がしてはならぬ事だと「本の話」で主張しかつ、青山市長に営利本位の民間に図書館を委ねるとこういう馬鹿な事をするから、室蘭では民間委託はダメだぞと釘を刺した。

◯月◯日/ それが、今年に入っての3月9日の報道によると、苫小牧の図書館は今年2月になって、市民や市議からの反対を受けて、漸く、これからは警察の令状なしの捜査には協力しないとの態度を決めたと言う。戦前は市民の思想調査に利用者の貸し出しカードが使われた事はよく知られた話だ。何を今更と呆れるが、まあ漸く普通の図書館に戻った訳だ。図書館は日本図書館協会の「図書館の自由に関する宣言」を図書館の入り口に貼っている筈で、これにも悖るような事は夢夢してはならぬという事だ

◯月◯日/ 私は読んだ事がないが、「ドクター・スースー」なる児童文学者の本を、トランプの妻君のメラニアが学校に寄付したそうな。ところが、学校の司書が「彼の絵本は人種差別的だ」として断った由。メラニアも亭主同様、差別には鈍感と言う訳か。スースーの本は目のつり上がった中国人が描かれているそうで、これが「アジア人や黒人の描き方が不適切だ」との批判につながっているようだ。「アジアン・ビューティ」とほめられた(?)丸川のつり上がった目を思い出すね。

◯月◯日/ 菅のとんでもなく薄汚い息子の東北新社での役割は「接待要員」だそうな。言い得て妙だ。まあ身から出た錆びだが、この馬鹿息子らの行動によって「総務省」の仕事がゆがめられたのではないか、と国会でとっちめられている武田良太なる総務大臣は言を左右にして「歪められていない」と力んでいる。この武田、昨年12月の報道によると、その政治資金による飲食会会費においては回数トップ。2年間で443回(因みに2位はあの下司な麻生で335回)その費用たるや2位3,151万1447円(因みに費用トップは下品な麻生で4551万7085円)だ。

◯月◯日/ 武田が好きなのは寿司屋で赤坂の寿司屋に32回通って計860万払っている一回で100万払った時もある由。どんな寿司を食ってるんだか??これだもの山田ナントカ言う女が7万近くおごられていても驚く筈もなく、結果行政は「ゆがめられていない」となる訳だ。それにしても恐れ気もなくよう食うな!!国民の側もどうしてこんな連中に投票するんだろう。

◯月◯日/ 日本テレビの番組「スッキリ」で3月12日お笑いタレントが、アイヌ民族を傷つける発言をした。その次第は下記の如しー番組はアイヌの女性のドキュメンタリーで、その時タレントが「この作品とかけて、動物を見つけた時と解く。その心は「あ、犬だ」とやったと言う。報道を読んで「呆れる」を通り超した。この言葉.和人が北海道を侵略し始めた時、つまりは明治をさかのぼる程の古き時代に、心ない和人たちによってよく発せられた差別の言葉だ。それを今頃になって持ち出すとは!!何たる無知、何たる人権意識の低さ、何たる笑の才能のなさ、土台、今の世、たけしだの松本人志だのを初めとして舌禍の持ち主、無知な連中がはびこり過ぎている。

◯月◯日/ テレビの番組も愚劣を極めている。コロナだ、政治だと世界的に深刻な状態が続いているのに、ひたすら、グルメだ、温泉だ、クイズだとなんの足しにもならぬ番組の連続でそれにタレント達が総出演だ。それをつなぐのはこれ又どれも似たような   のCMだ。このCMの時間というものどれ程日本人の生活の時間を無駄にしているだろうか。アイヌ問題に戻ると、この「アイム」なる言葉は(北海道は二風谷(にぶたに)のアイヌ)萱野茂の「アイヌ語辞典」(三省堂1966年発行¥10,00)によれば「アイヌ=①人間、人(神に対しての)② アイヌ民族、アイヌ人(和人やその他の民族にたいしての)だ。

◯月◯日/ 登別出身で、後にアイヌ語の研究で世界的に名をあげた知里真志保(ちりましほ)が旧制一高(現東大)に入って一高の寮に住んだ時、同室の、後に作家となる豊橋出身の杉浦明平が、知里に「北海道にはアイヌってのがいると聞くが、どんな人か?」と聞くと知里が「俺がアイヌだ」と答えたという事を明平が書いている。この知里は旧制道立室蘭中学校(私の出身校、室蘭栄高校の前身)に一番で入った。(当時室中では入学時の成績の順で各組の級長を決めるのが習わしだった。だから知里は一組の級長になる筈だったが、アイヌが和人の上に来るとは!!とて、3組の級長にされた。

◯月◯日/ 「スッキリ」で馬鹿発言をしたお笑いタレントの名は報道されていないが、この連中はおそらく知里の名前さえも知らないだろう。昔、白老に観光に来た東大生の2人組が売店にいたアイヌに「アイヌって日本語分かるんですか」と聞いたとのエピソードもある。私は室工大勤務中、新入生のオリエンテーション(新入生進路指導)では必ず知里真志保の著作を含めてアイヌを知るように促したものだ。と言うのも本州から来る者はおろか、地元の栄校出身の者でさえ、先輩の知里について何も知らない者が多かったからだ。「知里真志保全集」全6巻(平凡社)が私の棚にあるが、他にも知里の妹の知里幸恵の「アイヌ神謡集」(岩波文庫)もある。今からでも遅くない。馬鹿タレントの発言を機に皆に読んでもらいたいものだ。

2021.3.13

 

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