第185回 ハックルベリィ・フインの冒険

`01・7月18日寄稿

大江健三郎の語るところによると、彼は10才の時に、マーク・トウェインの「ハックルベリィ・フインの冒険」を読んで感動し、「自分の生き方は‘よし、 地獄に行こう’というやり方にしようと思った。」そうだ。
この所を一寸説明すると、小説の中で、ハックは逃亡奴隷の黒人ジムと行を共にするのだが、この当時(1840年頃)は、アメリカで奴隷制度が健在で(と 言うのも変だが)、奴隷が逃亡することと、逃亡した奴隷を助けることは、共に違法であった。 続きを読む 第185回 ハックルベリィ・フインの冒険

第067回 氷の文化史と風呂屋の富士山の本

`95.3月3日(金)寄稿

各地から、雪祭りや、氷祭りの便りが来るなと、思っていたら、先日、朝のラジオで、中国はハルピンで、氷祭りが始まり、日本からも、新潟、旭川、網走、札幌、函館の板前やら、コックやらが、数人氷像造りに参加した、とのニュースが報じられました。 続きを読む 第067回 氷の文化史と風呂屋の富士山の本

第066回 昭和新山「麦圃生山」写真集

`95.2月16日寄稿

太平洋戦争の時、私は国民学校生(=小学生)でしたが、一時洞爺湖畔に兄弟揃って疎開(そかい)していました。父の友人が今の「ホテル万世閣」の前辺りに住んでいて、その離れを借りたのです。その頃の洞爺湖畔は,今のようにホテルや旅館が林立していませんから、朝起きると日本手拭を持って通りを横切り、湖畔に下りて行って、顔を洗い、口を漱いだものです。 続きを読む 第066回 昭和新山「麦圃生山」写真集

第065回 近代外科の父、パレ

`95.1月31日寄稿

前回は、ノーベル文学賞を受けた大江健三郎の恩師、渡辺一夫の代表的著作「フランス.ルネサンスの人々」と渡辺の諸著について、解題的に語りながら,渡辺の人となりと思想を述べた、大江の「日本現代のユマにスト、渡辺一夫を読む]を紹介しました。 続きを読む 第065回 近代外科の父、パレ

第060回 柿は「生活樹」

`94.11月2日寄稿

秋晴れの或る一日、私は足腰が弱ったため、近郊の温泉の療養所に居る母を見舞いました。土産は母の大好物の柿...と言っても、それはトロトロになるまで溶けた柿を冷やしたものです。それをスプーンですくっては、満足気にすすっている母の口元を見ながら、私は一冊の本を思い浮かべていました。今井敬潤の「柿の民俗誌ー柿と柿渋ー」です。 続きを読む 第060回 柿は「生活樹」