第202回 接吻と時代考証

`02.6月4日寄稿

流行歌や艶歌について、本当か嘘かわからぬが、よく言われることがある。それは、港とか、涙とか、霧笛、とか言った言葉を適当に並べると、一篇の詩が、たちどころに出来上がると言う話だ。そう簡単にことが運ぶ筈はないと思いつつも、あまりに陳腐な歌を聞くと。何となく、これは単なる語句の並べ換えだ、と思う時がないでもない。 続きを読む 第202回 接吻と時代考証

第203回 漱石と鈴木三重吉と芥川竜之介

`02.6月21日寄稿

泥棒が家やら部屋やらに侵入しようとする時には、雨戸であれ、障子戸であれ、最初に敷居に小便をたらすと言う。滑りをよくするためなそうだが、盗人(ぬすびと)から直接聞いた訳ではないから、真疑の程はわからぬ。又よく聞く話に、泥棒は、これから忍び込もうとする、或いは忍び込んだあとには糞をたれると言う.気を静めるためと言うが、これも嘘か真か、責任は持てぬ。 続きを読む 第203回 漱石と鈴木三重吉と芥川竜之介

第204回 最近気になり,語りたいこと

`02.7月16日寄稿

「〜(ナニナニ)」について是非共語りたい事柄が4つも続いたので、順不同に行く。①/知里真志保(ちりましほ1909〜1961)登別に生まれ、東大卒、北大教授、アイヌ言語学研究に尽力、大著「分類アイヌ語辞典」は未完。真志保は、大量のカードを遺して死んだ、死の床で、彼は最後の奥さんだった萩中美枝に「俺が死んだら、北大ばっかりでなく、あちこちのだいがくから和人共が、カードを借りたいと言ってくるだろう。しかし、絶対に貸すな。貸したら帰って来ないから、絶対に貸すな」と言って死んだ... 続きを読む 第204回 最近気になり,語りたいこと

第205回 伊福部昭の音楽と周辺

`02.8月9日寄稿

オスカーワイルド(1854〜1900)は19世紀末英文学を代表する作家だ。詩では「レディング監獄のうた」小説では「ドリアン・グレイの背後」戯曲では「サロメ」.児童文学では「幸福な王子」が有名だ。「サロメ」については」面白い話が或る.“ 貝谷さんが、サロメを180回も踊られたのは、当時進駐軍の兵隊がそれをよろこんだからです。ブラジャーが一度外れたときがああって,大騒ぎして彼らは喜んだのですが,戦前は人前で赤ん坊に乳を飲ませるのは普通だったので,どうしてそんなに騒ぐのかわかりませんでした。”と語るのは,十勝は音更(おとふけ)で育った作曲家の伊福部(いふくべ)昭.釧路出身1914(大正年〜)聞き手は,オスカーワイルド研究家の堀江珠喜

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