第094回 責め絵師伊藤晴雨と団鬼六

10年ほど前札幌のそば屋でのことです。注文した酒とそばを持って来た30代と覚しき女は、えらく肉置(ししおき=)の豊かな女で、今の言葉で言うならば、巨乳の持ち主でしたが,ユニフォームのTシャツの生地をつきあげる感じの、そのたわわに実った胸の、二つの小山の先端に、「S」「M」の二文字が踊っています。 続きを読む 第094回 責め絵師伊藤晴雨と団鬼六

第093回 人生だな力道山・テレサテン・男女の川

力道山(プロレスラー)が活躍した時代は、私の大学生時代と、略々(ほぼ)重なります。その頃,私は本郷の西方町の下宿から近い、東大農学部前の「増田屋」なるソバ屋によく行きましたが、時間がテレビのプロレス中継とぶつかると大変でした。と言うのは、各家庭にテレビのない時代ですから、プロレスファンがテレビを置いてある店に一勢に押しかけて、くる訳で、空いているのはテレビの真下にある席一つだけになるのでした。 続きを読む 第093回 人生だな力道山・テレサテン・男女の川

第092回 高杉一郎の本 

畔柳二美(1912.明治45—1965.昭40)という作家を知っていますか。「くろやなぎ.ふみ」と読みます。この人の抒情的長編「姉妹(きょうだい)」(講談社刊)を実に久々に本棚から出してきました。第8回「毎日出版文化賞」を受けた作品です。 続きを読む 第092回 高杉一郎の本 

第257回 3月に蔵書票世界展

`07.2.15

私が「蔵書票」のことを知ったのは、昭和39年(1964)に読んだ紀田順一郎の『現代人の読書」によってだった。そこには、「原則としては、へたでも自分で作るのが理想である。専門家に依頼するなら、よく趣味が合った人を選びたい.又、愛好家のために、制作・頒布をあっせんしているところもある」と合って、カッコして(日本愛書会[代表者・志茂太郎)と付け加えられ、その住所を見ると、東京と思いきや岡山なのだった 続きを読む 第257回 3月に蔵書票世界展

第091回 司馬江漢と亜欧堂田善

’96.5.8寄稿

能代で、木造住宅の設計家として活躍している西方君から、4月18日付で手紙が来ました。いわく「秋田県立博物館の中に”菅江真澄資料センター”が出来、”県外の真澄資料の企画展示があります。春になりましたので、胡堂の記念館とあわせていかがでしょうか。」そして、新聞「秋田さきがけ」の切り抜きのコピーが、同封されていました。「胡堂の記念館とあわせて、、、」と言うのは、この「あんな本〜」第81回(昨年11月2日付)で、藤倉四郎著「銭形平次の心」を取り上げ、文末で盛岡在の梅田君が、教えてくれた、岩手県紫波町の「野村胡堂、あらえびす記念館」(昨年6月10日開館)に触れ、「〜そうだ、”かたくりの花”が咲く頃に、此処を訪ねよう!」と結んだことに対する、旅への誘いなのです。 続きを読む 第091回 司馬江漢と亜欧堂田善