山下敏明さんのあんな本、こんな本

第186回 隠語大事典と国語大辞典

`01.7.31(火)寄稿

今の時期、室蘭は「祭」の季節だ。もっとも室蘭ばかりではない。先日、日曜日、苫小牧の自主映画劇場の「シネマ・トーラス」ヘ、イタリア映画の「マレーナ」(ヒロインを演じるモニ・ベルッチは「豚に真珠」イヤまちがった「イタリアの宝石」と言われるモデル出身女優。いい女です。)を観にいったら、途中の白老でも、漁港祭とやらで「ビーチバレー」をやっとたし、苫小牧も港祭りで、、、そのせいか、映画館は我れら夫婦のみで、貸し切り状態。帰路、目も疲れたので、錦町の「万歳湯」に入ったら、こちらも山の湯よろしく閑散としておった。

「祭り」と言えば、私とても小学生のうちは、「神輿かつぎ」にも出ていたし、盆踊りも張り切って屋台の上で踊ってた。何しろ、敗戦直後は、今のアーケードの「ホクトウ」のある一角は、戦中の「強制疎開」で空地になり、サーカスのテントがはられたこともあったし、郵便局の前一角、今タクシーが客待ちしている所も、闇市が出来るまでは、盆踊りの“やぐら”が建ったりもした。

全国各地の「祭」も見て歩いたが、一番すごかったのは、青森県は田名部(たなぶ)の「祭」。

イヤ「祭」がすごかった、と言うのではなくて、集まった「ヤーサン」達がすごかった。なにしろ、ホテルの風呂(大浴場)へ行ったら、鏡の前、湯舟の中、全部丸刈りの頭、背中には柄、色とりどりのクリカラモンモン=入墨)それもたっぷりと肥えたおにいさんばかり!!

よく、銭湯の入り口に「いれずみの方、御遠慮願います」なんて張り紙があるが、この時は、いれずみナンノソノ「彫物のない、生っ白い方お帰り下さい」ってな雰囲気だった。朝食は朝食とて、黒のW着た方々にテーブル占領されて、...イヤ、オッカナカッタ。あれ、何だったんだろう。ヤクザの国体でもやってたのかな。浅草海苔まで黒かったぞ!!

さて、「祭」の季節に妙な質問が西の方の男性から来た。前置は省くが、その質問は「Sexすることを、おとむらいと言うか」と言うもの。私は即答した。『言わない。聞いたこともない。言うとすれば、「祭」と言います。』

さて、お立ち合い。

「祭」=神霊をよび迎えてこれに供献待座し、以てそれを慰め和ましめること。(これ、柳田国男の「民俗学辞典」。読める?分かる?)

「御祭」=神社の祭礼(これ、「広辞苑」限りなく正しい、と言う感じ!!)

「御祭」=おは接頭語、・祭りを敬っていう語.神童をまつること。祭礼。・男女が交合すること。・女陰をいう.(これ、小学館の「日本語大辞典」)

ヘ−ヘ−ホ−!!流石「日本語大辞典」、、、私の解答に近づいて来た。

「お祭り」=男女の交会をいう、性交の異称、女子の陰部を言う。(これ、「隠語大辞典1 」、これ、今まで刊行された隠語辞典の集大成の感あり。)

さて、隠語大辞典は、大空社から復刻されている隠語大辞典の数々だが、平均10,000円と高くて、図書館だとおいそれとは手が出ぬ。余裕のある向き。買ってちょうだい。

余裕の大してない方で、尚かつ、日本語に強くなりたい方は「日本語大辞典」がおすすめ。と言う訳で、「おとむらい」は出番なし.土台こんな楽しいことを「おとむらい」などと言う人がいたら、よほど暗いお方だろうね。

「おとむらい」で思い出した。先日某紙の記事に、某女子が講演して、、、、と言う中に、「〜戸板に水の軽妙な語り口に主婦たちは〜」とあった。

「立板に水」とは聞いたことがあるが、「戸板に水」とは初耳だ。大体が戸板=雨戸で、よく時代劇なんぞで死人がでると、「それっ、戸板を持ってこい!!」となるものだ。

もっとも、室工大在勤中、M子と言う極めつけの図々しい女子がいて、「彼女は、本当に“蛙の面に水”だから」と一人が言うと、一人が受けて「そうだ、あの子ならもう“立て板に水”なんだから」と言うので、私が「ちょい待ち、ちょい待ち、ちょい待ち草のやるせなさ、今のどう言う意味だ?」と聞くと「立て板に水の方が量が多いもの、図々しさの度が大きいと言うこと」と返されたことがあって、まあ「ことわざ」はむずかしい。

それにしても「戸板」が出てくるとは!! もっとも、昔私は、「戸板女子大」出身の女とつき合ったことがあるから、この記事を書いたのが、女の記者とすれば、そして、その記者が「戸板女子大」出身者としたら意識せずに「戸板」と出たのかな、、、とかんぐったりもしているのだが、、、。

と言う訳で「日本国語大辞典2 」にあたると、「立て板に水・類 戸板に豆」とある。つまり似た言い方に「戸板に豆」があると言う訳。そこで⇒「戸板に豆=戸板に豆を転がす=立て板に水」(これ、平凡社の「大辞典」、「広辞苑第三版にはナシ」、フ−ン、成程!! トコロガ、、、ダ!!「日本語大辞典」にあたると、「戸板に豆=戸板にごろつく豆=戸板にのせた豆は転がって思うように扱えないところから⇒自分の思うとうりにならにことのたとえ」だと。立ち止まらせてくれるね。つっかえさせてくれるね。さあ、お立ち会い、好きなように判断してちょうだい。わしや「お祭り」の方が楽だで好きだ。「お祭りが済んで鎮まる(しず)まる山の神」平和でいいな!!


  1. 木村義之他.隠語大辞典.皓星社 ((2000) []
  2. 小学館編集部.日本国語大辞典.(2000) []

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