司書独言258回

◯月◯日/ 9月13日のニュースだが、イワン・ウイルムットが79歳で死んだと出た。どこかで聞いた名だなと思ってよく読んだら、「クローン羊」を作ったエディンバラ大学の教授だった。

この羊が生まれた時同じ手法で人間も作れるんじゃないか、との論が出たと記憶する。それで調べてみると、「クローン法」なるものがあると分かった。

◯月◯日/ 「クローン法」とは「クローン規制法」とも言って、「クローン人間を誕生させることを禁止する法」人の体細胞の核を未受精卵に移植して作る。「人のクローン胚や人と動物の細胞に融合させる「キメラ胚」を人や動物の胎内に移植することを禁ずる。この法2001年6月から施行された由。

◯月◯日/ この技術は、今や再生医療に生かされているそうで、20世紀最大の科学的成果の一つと目されている由。めでたいな。変なクローン人間が生まれなくてよかった。

◯月◯日/ ユネスコの諮問機関のイコモス(国際記念物遺産会議)なるものが神宮外苑の樹木3000本を伐採しようとする東京都に対して、計画を思いとどまるよう訴えた。これに対して、小池都知事は反対している連中には「かなり一方的な情報しか入っていないのではないか」と言い、さらに再開発を狙っている業者に向けて、「説明を丹念にすべき」だと責任を転嫁した。

◯月◯日/ その小池が先日どこやらの民放テレビに出て、自分がいかに東京都のために働いているかを、自慢たらたら喋くっていた由。(人から聞いた話だ。)しかし、何にしても都民もこのインチキ女をいつまで知事にしているつもりだろうテレビでは自分の学歴についても触れていたらしい。

◯月◯日/ その学歴なるものがそもそもインチキだと言うことを含めて、小池の実像を暴いた本を出しておく。(前にも紹介したかもしれない)

◯月◯日/ 「国連教育科学文化機関」つまり「ユネスコ」は9月20日「ルワンダ」を世界遺産に登録した。アフリカ中部のルワンダで,1994年大統領が乗った飛行機が撃墜されて大統領が死んだ。この大統領は多数民族のフツ派の出身だった。そこで怒ったフツ派が100日間にわたって少数派のツチ派をなたや棍棒で殺しまくった。その数80万人以上。これによって、ルワンダ自体が世界遺産になったのだ。

◯月◯日/この時、ルセサバギナなるホテルの支配人が自分のホテルに1200人を超えるツチ族をかくまった。この事件を映画にしたものが「ホテルルワンダ」で私も観た。2005年にはブッシュ(あのバカの)がこの男に勲章を贈って、その時の記事が私の切り抜きにある。

◯月◯日/ ところが、2020年になっての9月1日、この支配人が実は国内外で活動する武装過激テロ組織に資金提供をしていたと分かった。この男はベルギーに亡命し、その後不明で、ルワンダ当局はこの男を目下国際手配中。まだ捕まっていないようだ。世の中どうなっているんだろう。

◯月◯にち/ 新刊書の広告に「奈良弁で訳した万葉集」と言うのが出ている。著者は佐々木良。これだけでは男か女か分からないが、一つ例をあげると、大伴坂上郎女(おほとものさかのうえのいらつめ)のno527「来むと言うも、来ぬ時あると、来じと言うを、来むとは待たじ、来じと言うものを」

◯月◯日/ これの現代語訳は「来ようと言っても、来ない時があるのに、来ないと言うのを、来るだろうと待ったりはしまい。来ないというのに」

◯月◯日/これの奈良弁訳とくると「くんのかい?こんのかい?こんの?くんの?いやこんのかい!」こりゃいい!!痛快だ。読んでみよう。

◯月◯日/ 「万葉集といえば、これ書いている今日は9月24日。新聞の天気の欄に「秋の夜長」が出ていて、「夜長」「長き夜」「長夜」はいずれも秋の季語で「万葉集にも出ている程の非常の長い歴史を持つ季語だとある。これ切り抜いて、山本健吉の「基本季語500選」に挟もうとしたら、「夜寒」があって、「朝寒」に比べて「夜寒」の方がはるかに作例が多いとある。成る程ね。

◯月◯日/ 「JCJ」なる団体がある。「日本ジャーナリスト会議」の頭文字だ。この団体は優れた報道を表彰する。

その2023年第66回大賞が統一教会を20年にわたって追求してきた鈴木エイトに贈られた。実に喜ばしい。鈴木の活動を私が最初に知ったのは増田穂高が編者の「徹底検証、日本の右傾化」(筑摩書房2017年刊)でだった。

◯月◯日/ここにそれについて書いた「本の話」と書影を念のため出しておく。

◯月◯日/ その後の鈴木エイトの活躍は読者もよくご存知のはず。ここに「JCJ」大賞の前年、つまりつまり昨年10月に出た鈴木エイトの最初の単著と思われる本を出しておく。「自民党の統一協会汚染〜追跡3、000日ー」(小学館)だ。単著という意味は「日本の右傾化」も鈴木の他20人余りの共同執筆だし、2022年11月に出た「文芸春秋編」「統一協会、何が問題なのか」(文芸文庫)も共著だから

だ。夏バテしていない人はガンバッテ読むべし。アベこそが言葉通りの「売国奴」だということがよく分かる。

◯月◯日/ 今日は9月24日、私はテレビは見ないが番組表は見る。すると、今夜9時「NHKスペシャル」で「大河原化工機事件」をやるとある。番組の紹介は「まあ」捏造ですね」6月警視庁公安部の現役捜査官の言葉に、法廷中が息をのんだ」とある。「軍事転用が可能な精密機器を不正に輸出したとして、機密メーカーの社長ら3人が逮捕された事件だ。

この時不当に拘留された元専務が治療を妨害され死んだ。今はこれ以上は書かずに「本の話」の方で取り上げる。この事件を早くから取り上げたジャーナリストの青木理はこの専務の死を「もはや国家による殺人に等しい」と言う。

◯月◯日/ 詳しくは青木が今年3月に出した「カルト権力ー公安、軍事、宗教浸食の果てに」を読むべし。その第3小が「ルポ、町工場VS公安警察」た。先述したように近々「本の話」で取り上げる。出たら読んで下され。

 

昨日、今日はそれこそ、「朝寒、夜寒」だ

2023.9.24

山下敏明

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