`08.3月寄稿
○月○日 ロシアはモスクワでの話。中心部にあるカール・マルクスの像を撤去し、代わりにプーチン大統領の像を立てようとの提案(市民によるものらしい)が市議会で却下された、と。あたり前だ.個人崇拝であれだけスターリンに苦しめられたのに、どうしてこう言う発想が出て来るのかな.ツアー(=皇帝)だ、スターリンだと何代もいじめられると、国民全体が被虐趣味になるのか知らん.市議会の答えは「偽政者の歴史的価値が決まるのは、権力の座を離れてから50年後」と言うものだが、これ、賢明なのか、どうなのか?。
もう一寸短くても分かると思うのだが。ところでプーチン出現当時、この人物実はかの悪僧ラスプーチンの子孫なのだけど、それだと世人への印象が悪いので、ラスを削ってプーチンと白ばくれているとの珍説(?)があったが、あれその後どうなったのか知らん.ラスプーチンは仇名でロシア語の隠語「ならず者」の意味だし、ラスプーチンの本名は、グレゴリリー・エフィーモヴィッチだと言うのが私の記憶なのだけど。
○月○日 マラソンの高橋尚子も大変だ。確か中国の高地昆明迄行って練習してた筈だが、そう言えばこの昆明で練習中に不審死してたと言うナントカ言う水泳選手がいたな。マラソンの42.195kmは、1908年ロンドン五輪で決まったんだと.王族の要望でウインザー城を出発し、競技場の王室用席前がゴールとなった由.ウインザー城と言えば、室民連載の「本の話」にも書いたが「ふくろう文庫」にウインザー城秘蔵のレオナルド・ダ・ヴィンチの解剖図の完全復刻版200枚がある。これウインザー城から門外不出で、この復刻版を作るための撮影だけで5年間もかかったそうな。これ今年10月末丸井ででの「ふくろう文庫特別展第4回展」に全点出すつもりでいる。
今月17〜20日迄市民会館で「ふくろう文庫特別展in輪西」と銘打って、安政2年の大地震に突如江戸市中に出現した「鯰絵」なるものを展示するが、これがうまく行ったなら春は市民会館秋は丸いと年2回の定期展に持って行きたい。
○月○日 ドイツの「ブロックハウス百科事典」が4月からインターネット版に移行する由.当館んではないが室工大では置いていた、と言っても殆どが使われなかったけどね。それはともかく、いくら時代とは言え、200年の歴史のあるものをそう簡単に止めていいのかね。映画ではビデオやDVDを作って映画館の客を減らして、結局は自分の首を絞め売り上げを減らしておきながら、出版文化の衰退を嘆き、とようわからんことをやっとるねえ。
○月○日 あっちこっちで小林多喜二原作の「蟹工船」を上映している.何年前だったか、女子高生がおばあちゃんにカニコウセン読めとすすめられて、コウセン=光線=レーザーは分かるけど、カニって何かなあ?と思っていたら「蟹工船』だったと言う実話をこの欄んで披露したことがあったが、その後その女子高生、これ読んで少しは成長したかなあ。
○月○日 室蘭民報に、国が学校への図書館購入費を増やしたとの記事が出て、ホーよい事だと思っていたら、数日過ぎて今度は道新に「国は蔵書拡充を目指し、自治体へ図書購入費の配分を増やしているが、使途が自由な一般財源とあって財政難の自治体が多い西胆振では、満額を措置する市町村はない」との記事が出てそれを証する「全国学校図書館協議会」の理事長の「文部科学省からの予算配分を満額予算化していない自治体は相当数に上がります」の言を付け加えている。記事は続いて室蘭・登別・伊達の実情を報告しているが、それはさておいて、これ私流にまとめると-おじいちゃん、おばあちゃんが、かわいい孫が立派な大人になるために、これで本を買ってとくれたお金を、両親が、生活が苦しいからとて全額本を買うことをせずに、幾分かを生活費にまわす、ということではないかしらん。これじゃ子供もかなわんし、文化の未来もおぼつかないなあ.昔の親は生活費減らしてでも子供に教育を受けさせたのではなかったか.長岡藩の「米百俵」故事とは正反対のなりゆきだ。
○月○日 フランスの作家で44才で死んだアントワーヌ・ド・サンテグジュペリの名をしったのは高2の頃で、三笠書房刊の世界文学全集中の「人間の土地」でだったが、この舌噛みそうな名前を言うのにえらい苦労をした.昨年は彼の「星の王子様」の版権が切れたとかで、内藤濯の名訳(との評判だった)を尻目に新訳が色々でた。サンテグジュペリは飛行機乗りで、第二次大戦中消息不明とされていたが、彼の乗った飛行機を飛行機を撃墜したホルスト・リッパートなる88歳になる戦闘機乗りが「私が撃った弾が翼に命中し、機体は一直線に海に落ちた。機内からは誰も飛び出さず〜それが、サンテグジュペリだとあとで知った」と、この3月15日名乗り出て、「彼の作品は大好きだった.彼だと知っていたら撃たなかった」とつけ加えた.今頃何言ってんだか!! 兎にも角にも戦争は何も生まぬ。