◯月◯日/ 私も我妻さんも猫派だが、私は小さい時「タロ」と言う名の猫を飼っていた。「タロ」と言ってもメスだが、余りにも喧嘩に強い猫なので、「岩見重太郎」の名をとったのだ。何しろ犬に追われても電信柱のてっぺんまで逃げる猫だった。「タロ」は私だけになつく猫で、あとの人には知らんぷり。
◯月◯日/ それは良かったが往生した事が2回ある。「タロ」のお腹が大きくなっての或る日、寝ていて何となく胸が重いので、そっと起きてみたら「タロ」が4匹の子猫を産んでいたのだ。これには参った。これが2度あったのだ。結局私は高校生に成るまでの13年間を「タロ」と過ごした。
◯月◯日/「タロ」を思い出したのはDVD屋で「猫物件」を見つけ、我妻さんに聞くと、見たいと言うので借りたのだ。若い男が6,7人若い女が1人出るが、どの役者も全く知らない顔ばかり。親のない男が、実は弟がいると知らされてー云々。不思議な味の作品で悪くなかった。人間は一人では生きていけないと言うことを言いたかったらしいけどね。
◯月◯日/ ところで、小さな私に「タロ」をくれたのはKと言う按摩さんだ。全盲の人で色の白い小柄な上品な女だった。Kさんは夜になると、普通はイスラムの人が被るような「おわん」の帽子を、冬になると「御高祖頭巾(おこそずきん)」を被って、笛を吹きながら現れる。この笛は何を言うのか?
◯月◯日/ この笛が聞こえると、私は母に言われてKさんの手をとって家まで案内した。どう言う人生の人か知らなかったが、上品な人だった。それが私が室工大に勤めている時だ。見たことのない娘が私の前に来た。美人だ。そして言うには「私はKの孫です」と。
◯月◯日/ 聞くと、Kは養子夫婦をもらって、「生まれた子が私」だと。「おばあちゃんがいつも山下さんの噂をしてました。」と。「賢い子だ」と褒めてくれていたそうな。ありがたいね。「タロ」にまつわる思い出だ。
◯月◯日/ ところで、最近新聞で「フェミサイド」なるカタカナ語を見かける。私が使っている学研の「カタカナ新語辞典」(2003年)に出てないところを見ると、新語なのかな。
◯月◯日/この「フェミサイド」は「女性を標的にした殺人」の意だと。そして、2022年6月5日ニュースではアルゼンチンでは1年間にフェミサイトが35時間に1件発生し犠牲者の81%は近親者やパートナーからのものだ。
○月○日 更に2023年 11月5日のニュースによると、メキシコでは2023年1月〜9月に女性が2620人殺され、その内625人が「フェミサイド」であると。私思うに、さっきの3時間男も一種の「フェミサド」でなかろうか。いやこれは、むしろ、「女性増悪」とでも言うものかな。
○月○日 ところで、全国の図書館職員の3/4が非正規だ。東京の多摩地区での例が出ているが、それによると、大学出て司書の資格を持つ47才の女が週4日16時間働いて、時給¥1,080月収7万円だと
○月○日 室蘭でも事情は同じ。分室入れて、女の職員は10数人いるが、全部非正規。一番古い人は25年居るがこの人の月給たるや失礼でここでは言えない程低い。
○月○日 そこへ持ってきてクレームを付ける人は図書館にいる人は皆正規だと思って居るから好き放題言う。給料の少ない非正規にとってはたまったものでは無い。と言うことだ。先日、日本図書館協会から非正規の手当てを上げようの勧告が出たが、当市初めどこも応じようとはしない。
○月○日 で私思うに、クレームをつけてくる人も、国も弱者を、早い話が、弱いものをいじめているのだ。
2023 11 27
山下 敏明