司書独言(256)

◯月◯日/ 北海道新聞に毎日「まなぶんクイズ」と言う(タテ3-5cm ヨコ6cm)ばかりの知識欄が載る。結構知らなかった事が出ていて楽しみにしているが、先日驚いたのは「授業」で使う「黒板」。

これ色が黒いからだと思っていたら、ナント明治初期(明治2年=1869)の5月頃に初めて輸入されたもので、その5と9の語呂合わせだと言う。英語の「Black Board」を訳した訳ではなかったんだ。

◯月◯日/ 女優の広末ナントカがW不倫と週刊誌に出ている。私はこの女の口付きが好き出はないが、それはともかくこれで思い出したのは、江戸の小話。隣がうるさいので、何事かと聞きに行くと「かかあめが、あの男と密通しました」と言う。それを聞いて男が言うには「そうだろうと思っていたが、まだお前は大まかだ。俺が見ただけでも、三つ(密通)や四つじゃない」

◯月◯日/ 古川柳も「鶴見からかんづき、とって返すなり」なる句がある。この二つ阿刀田高の「言葉遊びの楽しみ」(岩波新書)に出ている。実は先日、ビデオ屋で「高倉健」特集をしていたのでなつかしくなって「鉄道員=ぽっぽや」を借りて来た。そこへ広末の不倫だ。おまけにビデオ返しに行くと、高倉健の最後を看取った小田ナントカの本がズラリと並んでいる。これで「ぽっぽや」の感動が色あせてしまった。まあこっちの勝手でもの言っちゃ悪いがね。

◯月◯日/ 今、最後を看取った小田ナントカと書いたが、正確に書くと、小田貴月で、その本というのは「高倉健最後の季節」だ。それで思い出すのは森功の「高倉健ー七つの顔を隠し続けた男〜」講談社、2017年刊¥1600+税)だ。私は森功を高く評価しているが、その森の本ではこの小田貴月なる女がかなりに不可解な人物として描かれてる。

◯月◯日/ 森の本の第7章が「謎の養女」で「最後に知られた養女の存在」「最後の手記は誰が書いたのか」と言った文章が並ぶ。森によるとこの女は高倉健の遺品を全部処分したり、家も更地にしたり、理解に苦しむ事をするのだが、今年の5月28日には「朝日新聞」の「リライフ」に登場して「高倉には”僕の事ちゃんと書いてね」と託されました」と語っている。

◯月◯日/ そうかと思えば、聞いた話ではテレビの「徹子の部屋」にでて、何やらはなしてないたとか。森が言う様に胡散臭い女ななのか、それとも自分で語る如くに清らかなのかー?ところで、この間「ゴルゴ13」を観てみたが、高倉健の大根ぶりに呆れた。何が面白いのかさっぱりわからないが、締めくくりとして森の本の書影を出しておく。

◯月◯日/ 日本では同性婚がまだ出来ない。配偶者は「異性でなければならぬ」との法律はないが、戸籍上「同性同士は不適法」として受理されないから、つまりダメで、まさしく「夫婦」=男と女でなきゃだめなのだ。先進7カ国(G7)の中で同性カップルの法的保障がないのは日本だけだと言うから、どこが先進なんだと言いたいね。

◯月◯日/そこで岸田一統に観てもらいたい映画がある。「チョコレートドーナッツ」男性カップルとそこに入り込んできた男児との人間味あふれる傑作だ。もう一つ気になる問題がある。子供に対する性犯罪の増加だ。これについても「パリ警視庁・未成年保護特捜部」なる秀作がある。「ジャニーズ」ばかりが問題じゃないぞ。私は同性婚も性犯罪も関係ない、関心ないなんぞとと言っていると、そのうち人間味が無くなっていくぞ。

◯月◯日/ 「ジャニーズ」で思いだしたが、此の頃、カナダなどでの聖職者の性犯罪が徐々に明らかになってきている。これについても「スポットライトー世紀のスクープ」という実話に基づいている名作がある。どうでもいいテレビなんて消して歴史に残る映画の名作を観た方が時間を無駄にせずに済むのでは。!

◯月◯日/ 我が家のお向かいさんは、娘4人に末っ子が男児、皆小学生。その末っ子が「僕はダンゴムシ大好きだからつかめるよ」と言うと、すぐ上の女児が「私は大嫌いだからつかめない」と言い合っていた、と庭から戻った我妻さんの報告。地元紙によると、このダンゴムシ外来種で、ヨーロッパ原産のオカダンゴムシだと。大きさは1.5cm、オスは模様なしメスは黄色い模様があると。

◯月◯日/ このダンゴムシ、道内を北へ北へと広がっているんだと。ダンゴムシが増えてて、餌の落葉を巡ってワラジ虫と競争になっている可能性ありとも。我妻さんはダンゴムシを室内で見つけると庭に出してやるが、私はワラジも、ダンゴもトイレにポイ。両名とも平気で水中を動いているぞ。

◯月◯日/ 6月23日 のニュースだが、「オズウイルス」なるものに感染した70代女性が死んだが、このウイルスで人が死ぬのは世界初だと。厚生労働省の発表だと、ウイルスを媒介したのはマダニだと。これで妙な事を思いだした。大学の下宿時代何やらかゆくなって東大前の医院に行くと、「ダニ」にかまれたのだ。部屋を調べてごらんと言われた。帰って調べると下の(私の部屋は2F)の庭にネズミの死骸があってそこから来たダニが2階まで来たのだった。すぐに下宿の婆さんに言ってネズミを片付けたが、嫌な思い出だ。世の中何が起こるかわからんんな。世界初の死者にならなくてよかった。

◯月◯日/ 回転寿しで不埒な事をして逮捕者が出たと言う話は知っていたが、それで「性善説」が浮上したとは知らなんだ。回転寿し評論家(と言う者がいる事も初めて知ったが)の米川伸生(ノブム)によると、客の性善説を前提とした商売は「ギョーザの無人販売所(これも我が地で見た事がない)だが、カメラがあろうがなかろうが関係なく盗まれっぱなしだと言う。そこで米川が言うにはそんなスキマだらけの店のかまえの方が問題で、回転寿司屋も同じだと。etc

◯月◯日/ 一方中国思想史研究家、(島根大学)の佐々木愛(めぐみ)は「性善説」を「人は悪い事はしない者だ」とするのは間違いだとして、孟子が唱えた「性善説」は「天から与えられた人間の本性は善である」とする考え方だとして、人は時に悪い事をするがよい心情が発動する時もある。その心情を大事にすれば人は善性をを取り戻す事が出来るのだとする。

◯月◯日/ 私も回転寿しに行くが「性善説」なんて事を考えた事もなかった。私という人間の出来が浅いのだろうな。この次行ったら孟子のことを考えながら、少しは深刻な顔で食べよう。そう思いながら、私はこの「性善説」云々の記事を切り抜いて渡辺清一の「諸子百家」(角川ソフィア文庫)にはさんだ。金谷治の「諸子百家」(中央公論社世界の名著10)も持っているがこっちには孟子は入っていない。

◯月◯日/ 「勝手にしやがれ」のジャンポール・ベルモントが死んだのは2021年9月6日、88歳。死因は不明.その監督をしたジャンルック・ゴダールは2022年9月13日91歳でこの世を去った。ゴダールは自殺幇助を受け、致死薬を自ら飲んで死んだのだ。

◯月◯日/ 「勝手にしやがれ」の原題は「息絶え絶え」だそうだが、ゴダールも死が近づいて息切れしたのだろうか。自殺幇助といえば、日本でもさる評論家の例があるが今は触れぬ。ところで、私は今何故この話題を取り上げたかと言えば、実は訳があって〜。先日或る人から「死にたいが〜」と言う相談があったからだ。その人は病気なのだが医師から「これ以上は良くならない。あとは打つ手がない「それなら〜」と覚悟をきめたと言うのだ。

◯月◯日/ ゴダールはスイスで死んだが、そのスイスでは自殺を助けるはいいが「安楽死」は認められていないというから不思議だ。安楽死が合法的な国は、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、カナダ、スペインなど、日本では無論両方ともダメで現に先記した評論家の死を助けた2人は有罪になった。(執行猶予付き)。

暗い話題で終わりたくないが、今日はこれでやめよう

2023年7月9日

山下敏明

 

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