第354回 ファーブル生誕100年, ハイチ独立運動の本

2015.5.寄稿

スカラベはフランス語、日本語ではタマムシコガネ、一名フンコロガシで一群のコガネムシの称。古代エジプトでは太陽神ケペリを表し、生成、創造、再生のシンボルとして神聖視され、印章、装身具などにその姿が彫られた。もう17.8年前になろうか。ベルギーから来た芸術家が西洋の甲冑にこのスカラベをびっしり貼り付けた個展をひらいたことがある。 続きを読む 第354回 ファーブル生誕100年, ハイチ独立運動の本

第353回 シベリウスとフィンランドの叙情詩「カレワラ」日本の「ふるさとの生態学」

2015.5.6寄稿

今年はシベリウス生誕150年だそうな。皆と同じく私が最初にシベリウスを聞いたのは「音楽の泉」で紹介された「フィンランデア」で、祖国フィンランドをたたえたこの曲には直ぐに魅せられました。今日本シベリウス協会の最高顧問という舘野泉の演奏会では、アンコールがすごくて、確か5.6曲加えたが、最後にはくたびれたという感じで舘野が椅子に背をもたせ両脇に手をだらりと下げたのでアンコールが止んだが、今思うと、あのアンコール、何度やってくれるのかといった興味で聴衆が手を叩き続けた感がなくもない。 続きを読む 第353回 シベリウスとフィンランドの叙情詩「カレワラ」日本の「ふるさとの生態学」

第352回 第二次た戦後の人々の記録を元にした「廃墟の零年1954」

2015.2.30寄稿

2月、聖路加病院の例の長老/日野原重明先生が「梅」について書いている。自宅にある2本の古梅に絡めて,毛沢東の詩を引用するのだが、その日本語訳の後半は「美しいけれども、それによって、春の美しさを独占し世にときめこうというのではない。ただ、来たるべき春のさかりを予告しているだけなのである。やがて爛漫と山に花が咲き満ちたとき、先駆者の役目を終えた彼女、梅は,実を結び、他の花に囲まれながら満足の笑みを浮かべているだろう」....この引用のあと、日野原は「中華人民共和国主席として権力を振るった政治家と、この詩を比べて、毛沢東とはどんな人物だったのだろうと興味が湧いてきます」と加える。 続きを読む 第352回 第二次た戦後の人々の記録を元にした「廃墟の零年1954」

第351 戦後の映画の検閲 、森美術館問題の会田の作品群

H27.01.10寄稿

北村洋の「敗戦とハリウッド1 」を読み終えたところ、これアメリカが日本を占領した時に、アメリカ側がアメリカ映画を通じてマッカーサー言う所の、精神年齢12歳の日本国民を教育しようとして、如何なる方策をとったかを、検閲を主にして語ったもの。

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  1. 北村洋.敗戦とハリウッド.名古屋大学出版会(2014) []

第350回 翻訳家小笠原豊樹=詩人岩田宏の業績

2014.12.10 寄稿

随分昔、パリでのこと、1870年の普仏戦争での敗戦を記念して建てられたサクレクール寺院を観てからカルコーやマッコルランの回想に出てくる有名な酒場 「はねうさぎ」に回るべく、モンマルトルの丘に登ろうとして、通りがかりの人に「ケーブルカーの駅はどこか」と尋ねると、ちょっと考えて「知らぬ」と言 う。こっちも困ってハテ?とあたりを見回していると、5.6歩行きかけたその人が、小首をかしげ戻って来て「貴方の言うのはフニクリ・フニクラの事か?」 と言う.瞬時に私の頭に浮かんだのは「行こう、行こう火の山へ/行こう、行こう山の上/フニクリ、フニクラ...」の唄だった.と同時にそうか、登山電車 はここではケーブルカーではなくて、フニクリフニクラなのかと理解して私は「それ、それ」と喜んで...となったのだっ た。 続きを読む 第350回 翻訳家小笠原豊樹=詩人岩田宏の業績