第025回 消えた「最後の授業」

`92.12.24寄稿

『かつての国民的教材「最後の授業」が`89年を境に、教科書から全く姿を消してしまった。一体何が起こったのか?』と言う、実に読むもの興味をそそってやまぬ文句を、帯にのせた本が出ました。 続きを読む 第025回 消えた「最後の授業」

第024回 雪の文化史と言える2冊

`92.12.2寄稿

十二月に入ると私は納戸から額を一つ出して、居間の壁にかけます。中味は藍染の地に、白抜きで

「太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。次郎を眠らせ次郎の屋根に雪ふりつむ」の二行詩。

言わずと知れた三好達治の名詩「雪」です。字も達治によるもので、十四、五年前に秋田県角館に行った折、達治が好きと言う、喫茶店の女主人から、譲り受けたものです。 続きを読む 第024回 雪の文化史と言える2冊

第305回 明治のミステリー小説と当代のミステリー

`11.1.15寄稿

松たか子主演の「告白」なるDVDを観た。観たはいいが、その全編をおおう「おぞましさ」にウンザリ。天才を自認する中学生男子が、己の天才を、自分を捨てた母親及び社会に誇示して、もって己の存在感を確かな物とすべく、彼が魯鈍(ろどん=おろかでにぶいこと)と看做すクラスメートの男児を誘って、担任女教師の幼女を殺してみせる。この2人が自分の子供の殺害者だと知った女担任はこの2人の中学男子に、エイズ患者の血液を入れた牛乳(ヨーグルト?)を吞ませ...と筋は進んで行って、結果、女担任は復讐を成し遂げる。 続きを読む 第305回 明治のミステリー小説と当代のミステリー

第022回 大黒屋光太夫

`92.10.30寄稿

私はまだ観ていませんが、映画「おろしや国粋夢譚」(原作井上靖)で、すっかり有名になった三重県鈴鹿白子の船頭、大黒屋光太夫が、苦難の十年余を経て、帰国してから、今年は丁度二百年目と言う事で、帰国の第一歩を印した根室市では、この10月20日、記念式典を開いて、作家綱渕謙錠氏らの講演があったそうです。 続きを読む 第022回 大黒屋光太夫

第021回 蕗谷 虹児(ふきやこうじ) の世界

`92.10.16寄稿

「金襴緞子(きんらんどんす)の帯びしめながら 花嫁御寮(はなよめごりょう)は なぜなくのだろう」という詩は.それこそ、日本人なら誰でも知っているに違いない詩、と思われますが、この詩の作者の展覧会が、七月末、札幌は今井デパートで開かれました。題して「叙情の旅詩人、蕗谷虹児(ふきやこうじ)展」 続きを読む 第021回 蕗谷 虹児(ふきやこうじ) の世界