`98.6.19寄稿
小学校6年生の学芸会で,「月の砂漠」と言う劇の主役をつとめたことがあります。筋はおろか,自分の役柄も,相手とのやりとりも,一切忘却の彼方と言う感じですが,只一つ鮮明に覚えていることがあります。
私の役は,「王子様」いや「王様」で・・・・・ その証拠に,今,小さなアルバムにはってある出演者勢揃いの写真をみると,私は,王冠を頭にのっけて,ナント,ヒゲをはやしています。 ・・・・・腰に剣を付けていたのですが,この剣が実は,本物で,・・・・・ と言っても,旧陸軍で使っていた銃剣(=じゅうけん=小銃の先につけた短い剣(を付けた銃))の剣で・・・! 王の私が,敵に攻めこまれたか何かして,「もはや,これが最後!!」とか叫んで,一旦抜いた剣を,思わず落とすと,驚いたことに,私の手を離れたこの剣が,舞台の床に突きささって,おまけにブルブル・・ルとふるえたのです。今流に言うなら,まさしく。リアリティ(真実味)満点と言うところで,ひょっとしたら,この劇での一番の名優はこの剣だっだかも知れません。 続きを読む 第131回 美女と野獣