`08.6.8寄稿
○月○日 このところ、東京都心の建築現場で人骨が続々と発掘されている由。その人骨、かめに入っていれば武士もしくは金持ちの町人、桶なら庶民だそうな。「江戸はこうして造られた」や「江戸商家と地所」の著者、都市史専門の鈴木理生(まさお)に言わせると、相次ぐ大火で江戸の都市整備が始まると、幕府は寺に郊外への移転を命じ、となると寺側は、墓地を放棄したまま引っ越したし、人間の方も流入人工の増加で定着意識が薄いから、墓や骨を大事にする気もなくて、つまりは遺骨に執着しなかった由
`08.6.8寄稿
○月○日 このところ、東京都心の建築現場で人骨が続々と発掘されている由。その人骨、かめに入っていれば武士もしくは金持ちの町人、桶なら庶民だそうな。「江戸はこうして造られた」や「江戸商家と地所」の著者、都市史専門の鈴木理生(まさお)に言わせると、相次ぐ大火で江戸の都市整備が始まると、幕府は寺に郊外への移転を命じ、となると寺側は、墓地を放棄したまま引っ越したし、人間の方も流入人工の増加で定着意識が薄いから、墓や骨を大事にする気もなくて、つまりは遺骨に執着しなかった由
`09.5月19日寄稿
○月○日 5月15日(金)の室蘭民報(夕刊)に、室蘭図書館だより“ひまわり”「100号達成・8年余毎月1回発行」の見出しで、この「ひまわり」が平成12年11月の創刊以来、現在まで無事続いたことが報じられた。このことは容易のようでいて、実は難しい。「図書官報」なるものを出している図書館は、全国でもいくつもあるだろうが、連綿と続くと言うのは余りない。どうしてか?の答えは簡単で「書き手がいないからだ。 続きを読む 司書独言(93)
`10.9月寄稿
○月○日 イラク侵攻の決断は「後悔出来ない」とて参戦を正当化する回顧録を、ブレア元英国首相が出版した、とのニュースを聞いて、その鉄面皮ぶりに呆れたが、その発売記念のサイン会をやるというのに二重に呆れた。するとアイルランドはダブリンでのサイン会には200人が抗議と報じられて「あたり前」だと溜飲がさがったが、ロンドンでは、私も昔行ったことがある「テート・モダン美術館」を会場として出版記念パーティをやろうとしたら、トレイシー・エミン等著名な芸術家たちが、それは「美術館にとって不名誉だ」として中止を要求したので、ブレア側はパーティを延期したと知って、二重に溜飲がさがった。どうだろうこの小粋な断り様。実に小気味がよい。
`10.8月寄稿
○月○日 我が庭でアジサイが花盛りだ。3種類ある。「墨田の花火」などといい名だが、無論品種改良でつけられた名だ。花の色が変化するから、七変化と言われ、化花(ばけばな)幽霊花(ゆうれいばな)などとも呼ばれるが、私としては頓着無しだ。アジサイは湿気を好み、水気青を吸うから、昔は脚気の病人の病室に吊るした。脚気は水気を取れば治ると信じられていたからだ。アジサイを紫陽花と気取って書く人がいるが、これは間違いだ、と植物学者・牧野富太郎が指摘し、私も「本の話」で取り上げたことがあるが。この常識、万人に行きわたったようには思えない。 続きを読む 司書独言(108)
`09.6.20寄稿
○月○日「〜本を取り落としてしまう程笑いころげながら読み進むうちに〜」なんて文章を綴る書評家が結構いるが、私は原則としてそう言う大袈裟な表現は使わないことにしている。しかし、このニュースは大いに笑った。 続きを読む 司書独言(94)