`00.7.14寄稿
昔モスクワに行った時のこと、夜の街並みの暗いのに驚いた。ネオンサインの類いが、全くと言っていい程無くて、大した数があるとは言えぬ街灯のぼんやりとした光があるだけだから、最初は一寸異な思いがしたが、慣れるとかえってその暗さが味わいあるものに見えてきて、興がはっきりとせぬ横町なぞには、思いもかけぬ情趣があって、「あーきれいだな」と思ったことだった。きっと19世紀のモスクワは、ケバケバしさのない淡々とした美しさを持つ街だったに違い無い。 続きを読む 第167回 マヤコフスキー変死の謎