`00.1.28寄稿
室蘭地方としては、まれに見る大雪と寒波で、先日末、大分おたおたしたが、あたかもその時、と言いたい程のタイミングでと言うことは、こんな時こそ読むべき本が届いた。届けてくれたのは、室蘭工業大学生協の本屋さんの主任長尾真貴さん。届けられたのはJ.B.マーティン作、「雪の写真家ベントレー 」だ。
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真貴さんのいうには、「ベントレーの名前と業績を初めて知ったのはもう10年も前、山下さんがしてくれた話からでしょ。この本が出た時に、これは真直ぐに取り寄せなきゃ、と思ったの」と。真貴さんは、非常に記憶力が良く、知的好奇心も旺盛な人で、私はいつも本を注文するにあたって、「この人を通しておけば大丈夫」と言う安心感をもって頼っている人である。
何でも10年前のある日に、私が、雪の本についての色々、「北越雪譜」とか、「北越奇談物語」とか、「雪華図説」とか、を語って聞かせて、ついでに世界で初めて、顕微鏡を使って雪の写真撮影に成功した。アメリカ人ウイルソン、ベントレーの事にも触れていたそうな。
その「面白くて、面白くて」という言う話が彼女の頭に消せずに残っていて、今度出た本に直ぐ目が行ったのだと言う。新刊書におちなくめを配っているつもりの私も、この本の刊行は知らずにいた。で一読。いい本です。
雪に魅せられたベントレーの生涯が、詩情豊か、簡潔無比の文と絵とで描かれている。あえて一つ不満を述べれば、大人向けに参考文献があってもよかったのではないかしらん。
例えば北大低温科学研究所長、故小林禎作の「雪に魅せられた人びと 」(築地書館)など。
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と言う訳で、ベントレーがとった雪の写真をみたい人にベントレー自信の本を一冊紹介しよう。
W.A.Bentley著「Snow Creystals 」ドーヴァー社は、発行約16ドル、ドーヴァー社は古今の名著を和紙で低価格で出す有名な会社です。
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英語の本なんか、読めないよとビビルなかれ、沢山の雪の結晶(=クリスタル)を眺めているだけよろしい。英語の本なんか、どこで注文すればいいの?とビビルなかれ。室蘭及び近隣の人は、先程の長尾真貴さんか、店長の横尾君にTELなりFAXなりでどうぞ。室工大生協書籍店 TEL0143-44-6060 FAX0143-45-6905
話は変わるが、今は絶版のナット・ヘンホフの本について触れたい。この本の原題は「われらが本を逮捕した日」だ。我々日本の読者は、アメリカの代表的作家はマーク、トウェインであることを知っている。そして、トウェインの代表作は、「トム、ソーヤの冒険 」であり、「ハックルベリィフィン 」である訳だが、この名
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品を図書館からはじき出せ・・・との動きが、過去にも(ばかりでなく)現在でもある、と言う変テコな事情を書いた本が、この本だ。
「ハックルベリィフィン」は、確か旧ソ連では禁書であった。その理由は、「ハックルベリィフィン」が浮浪児であること、今流に言うならば「ストリート
、チルドレン」であることが当局の意に沿わなかった訳で、と言うのも完全無欠の社会主義国ソヴェエトに於いては、失業者は居らず、ましてや働きもせずにブラ〜と遊んでいる「路上生活者」は存在し得ず、故に「家なき子」のハックルベリフィンも、そのいること自体が許せないと言うことなのであったのだ。
パール、バックのノーベル賞受賞作「大地 」も、余りにも、中国の農民を貧困の中に描いているとして、
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毛沢東の中国では発禁の書であった。まあ、国と時代によって禁書の意味付けの違いがあることは分かるとしても「ハックルベリィ」がだめで、「ホイットマン 」も男色者故にダメだとなると何をか言わんやだが、「進化論」は認められない、聖書に友するからとなると、何をか言わんやに輪がかかる、と言うものだ。
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つまり、アメリカと言わず、我国と言わず「出版の自由」と言うものについて、またぞろ考えなきゃならぬ時代の到来のようだ。