アンドレア、ハーシッグなる女性ジャーナリストがどんな人か私はしりませんが、彼女が或新聞にのせた「アンデイのわかったつもり?」を私は、全くもって同感の至り、、、という思いで読みました。それは、次のような文章です。 続きを読む 第106回 チャタレイ夫人の恋人日本語訳完全版
投稿者: nisi93kei
第105回 建築家石山修武の冒険と鏝絵
1986年に出た、建築家石山修武の「職人共和国だより_伊豆松崎町の冒険ー」は、実に面白い本でした。伊豆半島は西海岸にある、松崎町での「町づくり」にあたって、自ら参画、あれこれを設計した石山が、体験したことの一部始終を語ったほんです。 続きを読む 第105回 建築家石山修武の冒険と鏝絵
第104回 招き猫の文化
‘97.1.14寄稿
果物に目がない私は、毎日弁当を使た後も、必ず季節季節のものをたべているのですが、今の時期に好きなのは、やはり柿です。先日も、樽柿をみつけて、樽の懐かしさも加わって、一樽買ってきたところです。干柿も大好きです。干柿は、
普通「ころがき」と言いますが、それは一旦干した柿を、型を整えるために、すだれ、ムシロの上で転がすのですが、その時の「ころころ」させる様子を取って、かく言うのだそうです。
「枯露柿」なる言葉が、既に400年も前の古記録にあるそうで、何人かは知らず、「ころ」なる動きに、この詩的な字を宛てた才覚には、ほとほと感嘆させられます。
ところで、岐阜でとれるものに「蜂屋柿」と言う種類があって、何でも、関ヶ原合戦の折、美濃大垣を攻略すべく陣を構えた家康に、近隣の「瑞林寺」(ずいりんじ)の住職が、この柿の大きなころ柿を陣中見舞として献上したところ、家康
は欣嬉(きんき=喜ぶ)して、”大柿(=大垣)我が手に入る。吉祥(きっしょう=よいしるし)なり”と言い、天下をとったあとは、瑞林寺に「柿寺」なる名を与えた上、蜂屋柿を産する一帯の地に対して、諸役(諸役=種々の雑税)を免じて、米の代わりに柿を持って、年貢としてよし、、、、と許したそうです。
因に、「ころがき一個」に対して「米、一升」と計算したそうな。昔の殿様は、こうして、何らかの形で、礼をしたもんだな、、、と思いながら、殿様のお礼、或いは恩返しと言えば、「豪徳寺(ごうとくじ)」の話もそうだな、、、と思い出しました。
東京は世田谷区にある豪徳寺に、万治年間(1658〜)の或る日、鷹狩りの帰りの武士たちが訪れました。何事かと驚く住職に、武士は門前を通ったら、白猫がいてしきりと手招きするので寄ったのだと言います。
一行が和尚に導かれ奥に通った途端、雷鳴を伴って沛然(はいぜん=さかんに)たる雨がきました。雨が止むまで、和尚の説法を聞いたあと武士は、雨をしのいだ上に結構な説法を聞けたのも、仏のおかげである、として深く感謝し、これからは、この寺を菩台所(ぼだいしょ=一家累代の寺)と定めよう、と言って去ったそうです。
このことがあって後、この寺は大いに栄えたそうで、吉運を招いた猫の為の猫塚も出来た由、因に、この武士は、井伊(いい)掃部頭(かもんのかみ)直孝(なおたか)でした。そして、一説によると、これが「招き猫」の誕生だ、と言うのです。
さて、新年を迎えて、今年は、或いは今年も「福」が、来てくれるのか、どうか、、、、大いに気になるところですが、そういう気分の人に、うってつけの、それもまことに面白い本があります。「来る福、招き猫手帳」がそれです、
「来る福、招き猫手帳」 荒川/板東著、情報センター出版局`96刊 ¥1600①1
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この本、その名も「日本招き猫倶楽部」世話人の荒川/坂東の御両人がつくったもので、これが矢鱈と面白い。なにしろ、その表情、姿態の面白さ、繰り返し見ても、全然、飽きが来ない招き猫を、何体(匹)も見せられて心から笑ったあとへ更に、招き猫を集めている、これ又面白い面々が紹介され、加えて招き猫を専門に創っているアーチストやら、窯元(かまもと)やら、そして、それを売っている招き猫専門店までの案内が続きます。
その上、「招き猫学会」の報告として、民族学やら形態学の蘊蓄(蘊蓄=深く積んだ学問)が披露されます。この本が余りに面白いので、私もつられて,この本で知った「招き猫の文化誌」(青弓社)を注文した位です。と言う訳で、猫無関心派、猫大嫌い派、etcにも、この本は気に入る筈(と思います)です。②2
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さて、折角の楽しい話のあとに、苦い話をしたくありませんが、猫となると、是非にも知っていて欲しい話があります。それは何かと言うと、猫の餌(えさ)の話です。
私も、子供の頃、タロと名付けた猫を13年間飼いましたが、今考えてみると、その間、猫用として、特別に用意した餌をやった覚えがありません。おそらくは、毎食、家族の食べ残しか、冷や飯に、「だし」を取った後の煮干しを置いて味噌汁をかけてやった位のものだったでしょう。
それに、昔の猫は、自給自足で、大いにネズミを捕っていたものです。ところが今は、猫缶が全盛です。問題はこれで、猫缶の原料の、マグロの産地のインドネシアとフィリピンでは、人間の口に入るべきマグロが、輸出用の猫缶の中味となるという問題です。
これを論じた上智大学生の労作「アジアを食べる猫」…きつい書名ですが読んでみて下さい。さて、猫のみならず、動物好きの人に参考になるリストが出ました。
雑誌「鳩よ!」の’96年12月号「動物の本特集号」です。本好きにも読書欲をそそられること必定です。
第103回 鉄の話と正月用読書本
‘96.12月寄稿
東京工業大学で「たたらサミット」が開かれる云々の記事が新聞に出た朝、市議会議員のSさんから、それについての質問が来ました。本学でも、昨年、共通講座(昔でいう教養課程)のT教授が中心になって、市内のイタンキ浜と呼ばれる海岸の砂鉄をつかって「たたら」の実験が試みられ、無事成功したというニュースが新聞に出たことがありました。 続きを読む 第103回 鉄の話と正月用読書本
第102回 読書週間
お薦め図書はこれ
九日までの読書週間にちなみ、日ごろ本に親しんでいる山下敏明さんに、推薦図書を紹介してもらう(価格はいずれも税込み)
降り出した雪の中、両手いっぱいに本を抱えた熊がこちらに背を向け、落ち葉を踏みしめ、冬ごもりの穴に向かって行く、という絵をみている。「へえ、冬眠にあらず、穴で読書か、こりゃいいや」と、数えてみると八冊も持っている。「やるなあ、この熊!」と感心しているところに、○○記者から恒例の読書週間だけど何かおもしろい本はないか、との電話。「ある、ある並べてみましょうか」
例えば、アキアジが捕れるころ飛ぶので秋味虫、または白いスカートを履いているから綿虫とも呼ばれる雪虫は、実はアブラムシで、その変わった生態を書いた「森の昆虫記ー雪虫編ー」(河野本道、北海道出版企画センター、772円)は、いまどきにはぴったりの本。①1
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雪になったら読みたいのが、土井利位(としつら)なる大名が書いた「雪華図説正続、雪華図説新考」(小林偵作、築地書館、2678円)。これ、86点もの雪の結晶図が入った世界で最初の雪の本。おもしろく美しい。②2
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「雪の文様」(高橋喜平、北大図書刊行会、2472円)③3
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もいいなあ。なにしろ、雪の柄のついた着物や茶碗だの美術品を200点も集めた本で楽しいこと無上。”雪”でかじかんだら、「ストーブ博物館」(新穂栄蔵、北大図書刊行会、1442円)を読むべし。④4
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子供のころ、干しいもや昆布やらを焼きながらあたった、ルンベル、ダルマ、薪(まき)などの各種ストーブの話と写真が満載で、なつかしく、冬の夜長も短く感じます。「『秀吉』が間もなく終わればテレビもつまらなくなる」なんてなげくのはそれこそつまらない。
養父秀吉に子供と妻妾30余名もろとも殺された秀次は、胎児見たさに妊婦の腹を裂いて殺生関白よばれた。彼の悲劇を描いて滅法おもしろい「太閤秀吉と秀次」(小林千草、ちくま学芸文庫、950円)もある。⑤5
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あと、九州場所も間近いから、17人の横綱の髪を結った男の一代記「床山と横綱」(小林照幸、新潮社、1400円)も読んでおきたい、、、と書いてきて、これでもまだ6冊だ。⑥6
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ところで、あの熊、もう何冊読んだかな。近じか会って読書談義をしょうっと。おっと、その前に「山でクマに会う方法」(米田一彦、山と渓谷社、1275円)を読まなくっちゃ。⑦7
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米田一彦氏について、前に触れたことがあるので、その文章を下にのせておきます。
室蘭岳の自然を守る会会報、第65号 「ガンバリ岩」
本棚 『 ベアー』 室蘭工業大学、図書館司書、山下敏明
「ヘアーいや、ベアー」 本屋でのこと。ビニール包装の美乳の写真集の後ろにアの字と毛の固まりが見えた。ウヒャツ!ヘアー写真集か?だけどこんなに毛深いナニもあるのかな、と慌てて美少女たちをかきわけてみたら、ギャオッ!ベアで、つまりは熊の写真集。ナンジャラホイ!、熊と言えば、広島県芸北町の「広島クマ研究所」所長米田一彦氏が、昨年末、調査用の捕獲罠にかかった熊一頭を見落とすミスを犯し、結果殺したのを恥じて研究生活から引退した。この毅然としたけじめの付け方。世の無責任共に熊の胆、イヤヤ勿体ない、氏の爪の垢でも煎じて飲ませたい。
岡田 昇著 情報センター出版局 ⑧8
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11月30日(土曜日)、「日本野鳥の会、室蘭支部」から、1500字分の原稿を2回分、との依頼を受けたので、ストーブをがんがんたいて腕まくりでガンバっていたのがウラ目に出て、風邪を引き、鼻水、咳止まらず、目下、床の中、、、、と言う訳で、11月の読書週間に、「北海道新聞」からの注文で書いた文章を、かわりにのせます。
こう、御諒解!!皆さま、風邪などめさぬよう!!