第092回 高杉一郎の本 

畔柳二美(1912.明治45—1965.昭40)という作家を知っていますか。「くろやなぎ.ふみ」と読みます。この人の抒情的長編「姉妹(きょうだい)」(講談社刊)を実に久々に本棚から出してきました。第8回「毎日出版文化賞」を受けた作品です。 続きを読む 第092回 高杉一郎の本 

第257回 3月に蔵書票世界展

`07.2.15

私が「蔵書票」のことを知ったのは、昭和39年(1964)に読んだ紀田順一郎の『現代人の読書」によってだった。そこには、「原則としては、へたでも自分で作るのが理想である。専門家に依頼するなら、よく趣味が合った人を選びたい.又、愛好家のために、制作・頒布をあっせんしているところもある」と合って、カッコして(日本愛書会[代表者・志茂太郎)と付け加えられ、その住所を見ると、東京と思いきや岡山なのだった 続きを読む 第257回 3月に蔵書票世界展

第091回 司馬江漢と亜欧堂田善

’96.5.8寄稿

能代で、木造住宅の設計家として活躍している西方君から、4月18日付で手紙が来ました。いわく「秋田県立博物館の中に”菅江真澄資料センター”が出来、”県外の真澄資料の企画展示があります。春になりましたので、胡堂の記念館とあわせていかがでしょうか。」そして、新聞「秋田さきがけ」の切り抜きのコピーが、同封されていました。「胡堂の記念館とあわせて、、、」と言うのは、この「あんな本〜」第81回(昨年11月2日付)で、藤倉四郎著「銭形平次の心」を取り上げ、文末で盛岡在の梅田君が、教えてくれた、岩手県紫波町の「野村胡堂、あらえびす記念館」(昨年6月10日開館)に触れ、「〜そうだ、”かたくりの花”が咲く頃に、此処を訪ねよう!」と結んだことに対する、旅への誘いなのです。 続きを読む 第091回 司馬江漢と亜欧堂田善

第090回 豚をもっと理解する本

「スバル・サンバ」というボンゴ型の軽自動車を知っていますか。腰痛が持病で、腰をかがめるのが、辛い私は、スイッと乗り降り出来るので昔はこの車を使っていました。真黄色の車体でした。或る時、隣家の小学生の長男坊が、如何なる連想からか、いまだに私には想像がつかないのですが、「おじちゃんの車は、仔豚みたいだね。」と言いました。「豚か?豚ねえ?」と答えた私に、隣家の奥さんが後で言うには「息子は悪気があって言ったのではないので、勘弁して下さいね」。 続きを読む 第090回 豚をもっと理解する本

第089回 河鍋暁斎

用事が出来て上京しました。ついでに長いこと観たいと思っていた、埼玉県は蕨市にある「河鍋暁斎記念美術館」に足を運びました。河鍋暁斎(1831〜89年)は、本来狩野派に属し、葛飾北斎を師とあおいで、浮世絵をも学んだ画家ですが、目から漢画、大和絵など多くの流派を研究し、その結果身につけた抜群の描写力で、幕末から明治中期まで活躍した巨匠です。 続きを読む 第089回 河鍋暁斎