司書独言(192)

◯月◯日 前号で作家の百田尚樹が、「たかじん」の最後を看取ったと称する「さくら」なる女に誑かされて、その女を美化した「殉愛」なる本を出して、これをノンフィクション作家•角岡信彦らが批判した話を書いた。角岡らの批判の他に、この本に対しては「たかじん」の長女が”事実無根、名誉を毀損された”との訴訟を起こしていたが、昨年末、最高裁第一小法廷がこれを認めて、出版元の幻冬舎に365万円の支払いを命じる判決が確定した。つまり百田の本はインチキだと明らかになった訳だ。因みに幻冬舎の見城社長は、首相安倍とメディア関係者を仲介する政界の黒幕として知られた人物の由「一つ穴のむじな」なる諺は、こういう時に使う言葉だな。

◯月◯日 「たかじん」と言えば、仲間に「台灣婆や」がいるな。台灣から来たと言う茶髪の金ナニガシ。この女自称「安倍婆や」で、自宅に首相安倍他を呼んでパーティーを開いていると自慢している女。因みに「安倍爺や」もいて、これは名前を忘れたが(三宅?)、元新聞記者という禿頭の怒りっぽい男で先ごろ死んだ。「台灣婆や」が可愛がる男に自称軍事評論家の井上和彦がいる。この井上が今問題だ、と言うのはこの井上、化粧品のDHCがスポンサーの「東京MX」の番組に登場して、沖縄の「大多数の人は米軍基地に反対とは聞かない」とか、ヘリパットの現場には「韓国人はいるは、中国人はいるわ、という状況で「反対派の暴力行為により近寄れない」etc.とルポしたが、実際には現場から数kmも離れた安全な場所にいてのルポ、と判明して、BPO(放送倫理、番組向上機構)が「重大な放送倫理違反」と断定したもの。この井上も「むじな」の1匹だ。

◯月◯日 もう一匹の「むじな」の最新情報も書いておこう。これ又自称文芸評論家の小川栄太郎。だいぶ前にこの欄で、小川の「約束の日、安倍晋三試論」なる安倍ヨッコイショの本を、安倍資金管理団体「晋和会」が2.380冊=¥3,748,500買い、小川が大儲けしたことを書いた。又、前々号にはこの小川が又々安倍をヨイショして、昨年10月「徹底検証、森友・加計事件-朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪-」なるトンデモ本を出したと書いた。それが昨年暮れ、朝日側が小川と飛鳥新社を相手に「謝罪広告と5,000万円の損害賠償」を求める訴訟を東京地裁におこした。いずれ断が下るだろう。今町の本屋に先の井上と、この小川の本が平積みされている。買う馬鹿がいることも含めて、まことに嘆かわしい。

◯月◯日 年末そば屋でテレビを見ていたら、黒ずくめ、妙にパチクリ眼の老女がドタリ、ドタリと、しかもカメラを意識してか少し宛(ずつ)身体の向きを変えながら、「撮った?撮った?」と言わんばかりの表情で出て来た。途端に、これはどこぞの老人会の忘年会での余興の婆さん連ファッションショーかと、思ったら、座るや「我々としては真摯に、厳正に粛々と〜」と安倍や菅の口真似をやり出した。この女池坊ナントカ。態度傲慢、言語未熟、誠に醜い。後になって新聞で読んだが、「貴ノ花は礼を欠いている」と言ったとか。まあ池坊でも武蔵坊でもいいが、梅沢富美男(?)式に言えば、もちっと品格のある婆アがいないのかね。

◯月◯日 歌手の加藤登紀子がサハリンでリサイタルをやるとかで、高橋知事を訪問したとの記事が出た。私は昔、飛行機で、私が真ん中。二人置いて窓際に加藤と並んだことがある。その時名は忘れたが、長身イケメン(なる言葉は当時なかったが)の新米歌手が挨拶に来た。見ていて驚いたのは加藤の尊大な態度。先輩面もいい加減にせいよと口に出したくなる程のもので、私は以来、加藤の歌を聞かぬ。「百万本のバラ」も私は現曲の「マーラーが与えた人生」をラトビアのスクリデ三姉妹のCDで聴く。思えば「飲んで騒いで丘を登れば〜」の知床旅情。森繁も馬鹿な歌を作ったもんだ。これでは「自然破壊のすすめ」のような歌だと皮肉った人が、当時いたが、私もそう思わぬでもない。

◯月◯日 今あるかどうか?昔、新橋の駅近くに変わった甘味処があった。変わったというのは、この店、出す品々が単に「汁粉」というのではなくて、全部歌舞伎の演目からめた名前が付いていて、更に頼んだ品を客に出す段になると、女店員がその品が関係する劇中のセリフを朗々と延立てるのだ。歌舞伎には暗いから適切な例が出せぬが、例えばの話、汁粉を出したあと「月もおぼろに白魚の〜」とやる場面を想像して欲しい。大学生の私が、商社勤めの長姉に誘われて初めてこの店に行った時、何を注文にたかはさっぱり忘れているが、覚えているのは、長姉が何やら目くばせするので、椅子の背に手をかけて振り向いてみたら、そこに長い顔の女が餡蜜を食べている。それがどうしたと首を戻すと、また姉が目くばせせする。それで再度く首をめぐらしてみたら、ナント越路吹雪だった。然し私の記憶に残ったのは越路には悪いが、美醜で無しに、「長い顔だな」のみ。聞けば今テレビで「越路吹雪物語」をやっているそうだが、それで思い出すのは又しても「長い顔だな」のみ。我ながらどうしたもんだ!!

司書独言(191)フクロウ親父の㊙︎日記 part165

◯月◯日 「肺腑を突く」なる表現があるが。胸の奥底を突く(衝くとも)意から強く感動させる、深い感銘を与える意となって、「聴衆の肺腑を突く演説」などと使われる。正しくこの言葉の見本たり得る演説が最近あった。 続きを読む 司書独言(191)フクロウ親父の㊙︎日記 part165

司書独言(189)

◯月◯日 2015年ネパールで起きたマグニチュード7.8の大地震で、8848mのエベレストが2.5cm低くなったやもしれぬとて、今年政府が調査する由。最高峰に比較しては失礼だが母恋富士は昔、本当に秀麗だった。それが戦時中の採石(?)で削られてぶさいくに低くなった。仏坂を越えてラッパ森に向かう度、残念な気持ちになる。誰だ?あんなにもてっぺんを削ったのは??自然現象で低くなったのであれば諦めもつくが、人為では腹が立つ。

◯月◯日 京都の東寺、つまり教王護国寺に空海請来の国宝「両界曼荼羅図」があるが、その複製が「ふくろう文庫」にある。野口観光社長からの寄金で買えた2巻物で、¥100万円もする大変な物だ丸井で一度公開したことがある。ところで9月30日付朝刊を読むと「両界曼荼羅の仏たち」なる本の広告が出ていて、こりゃ参考になりそうだ、読んでみようと切り抜いたら、隣に仏教学者?ひろさちやの「釈迦にまなぶ」広告があって呆れた。どうしてか?、もう何年前になるか忘れてしまったが、この学者の家に空き巣が入って現金を持ち去った。その額驚くなかれ7億円。アディダズのバッグに入れてクローゼットに置いてあったという。私はこの事件を取り上げて「仏罰」だと書いた。だって考えてごらん。今回広告の本の脇にある文章は「苦しみにどう向き合うか、楽に生きる仏教の極意」とあるが、この学者は講演で「物欲の戒め」と語っていたはずで、それがこの箪笥貯金ならぬクローゼット貯金。正しく悪徳坊主が舌先三寸で善良なる庶民を丸め込んでの集金と言う図だ。室蘭にも来て講演したと記憶しているが、その講演料も聞いて目をむく程のものだった。こんなエセ学者の本を読み、話を聞く馬鹿が未だにいると言うことだ。庶民もなめられたもんだ。

◯月◯日 ふざけたと言えば、小川栄太郎なる物書き。「朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪」なる副題を持って「森友・加計徹底検証」なる本を出した。この御仁、記憶に間違いなければ、以前安倍首相礼讃の伝記本を書き、しかもそれを大量に安倍の講演会に買い上げてもらって儲けた男で、この欄でそのからくりに触れた事がある。広告の最後の文章は「このままでは国の存立が危うくなる」だが、よく言えたもんだ。「もり・かけ」のどこが”捏造"なのか。権力の提灯持ちをする奴はいつの世も居るものだが、この男には呆れるね。こんな本を買った上で信ずる馬鹿者がいるとしたら、それこそ「国の将来」が危ういと言うものだ。

◯月◯日 折しも前川前文部科学次官が札幌に来て、10月23日夜講演したと報じられた。閉会中審査の時の気骨ある返答ぶりを思い出す。講演と言えば、ジャーナリストの伊藤詩織が10月24日日本外国特派員協会で「性被害の救済制度改善」を訴えたと出ている。この女性、元TBS記者の山口敬之にレイプされたと訴えた人。山口は先の小川と同じく、安倍の礼讃本「総理」を書いた提灯持ち。過ぐる5月に明らかにされたこのレイプ事件、何故かもみ消されたが、10月26日号の「週刊新潮」では、「詩織さん準強姦逮捕状の男にもう一つの罪」として「安倍総理を援護したくて虚報発言!!」。

週刊文春の「韓国軍に慰安婦記事は山口記者の捏造化」なるものが出た。小川にしても山口にしても、余程の見返りがあっての提灯持ちなのだろう。

◯月◯日 福井県池田の町立中学校で起きた、中学2年男子の自殺事件、担任らの度が過ぎた叱責、執拗な指導を、校長は知っていたと言う。母親は担任を替えてくれと頼んだが、それは出来ぬとの返事だったらしい。で思い出すのは、私が小5の時の出来事。何故か私は女担任の若いAにマークされて...ある時、突然黒板の前に立たされ・赤い鉢巻きで目隠しされた。そしてAが言うには、「山下に意見のある人は」。するといずれも頭文字Nの3人が順番に私の非を鳴らすと、 Aは「では山下に級長を止めてもらいます」で、私は級長を首になった。これを偶々廊下を通りかかった小林喜藏校長が見て、私一人を年寄りの老練な男教師Dの組に移し、私の父を呼んで言うには「敏明は気性の激しい子だから、これでぐれては可哀想なので、私の一存で移した」と。私はこれで救われて5年総代で送辞を読み、卒業式では6年総代で答辞を読んだ。小林校長には今でも感謝している。因みに池田中の校長は10月20日に退職願を出した由。小林校長と器が違うのだろうな。(山下敏明)

司書独言(186)

◯月◯日 伊達のピザ屋に時々行っていたが、どうした訳か私が一番好きな辛味のものがメニューから消えた。

辛過ぎて一般的に受けなかったのか?。それはともかく、インド映画の「ピザ」を観て呆れに呆れた。これインドのスラム街に住む兄弟がピザを食べたいが為に小銭集めに励んで、という筋だが、そのピザが家族の1ヶ月の生活費よりも高いのだ。それでも目標額を集めてピザ屋に行くと、ここで事件の幕が開いて....という訳だが、その貧困や格差の問題が度外れていて、例えばこの兄弟、栄養補給にカラスの巣から卵を失敬して飲む。しかしまあ、一番あきれるのはこの国に原発を売りに行く男と、それを買う男。呆れて物も言えない。

◯月◯日 「ピザ」の後韓国映画「弁護人」を観た。若き日のノムヒョン元大統領がモデルだと言うが、金儲けに熱中している高卒出の(と言うことは学歴ナシと見做される)弁護士が、通っていた食堂の息子が突然警察にしょっ引かれたことから「国家保安部」を相手に、この息子とその友達救うべく闘わざるを得なくなると言う話。息子たちは夜学の生徒で、お互いの小遣いを貯めて買った本の輪読会を開いているだけなのだが、北朝鮮の勢力拡大を恐れる保安部は、これを「共謀罪」と見做して「国家転覆」にデッチあげる。保安部の刑事が言う。「自分は13年間この仕事をやっている。犯人を見れば直ぐ分かる」。

◯月◯日 ところで6月14日「共謀罪」が強行成立された。これを受けて片山ナントカ(所属は知らず、角ばった顔の男)が「日本の官憲はまじめで張り切るから、その辺が一寸ね」と言う何が罪になるのかを決めるのは官憲だということを国民が危惧しているのにこの言葉。「弁護人」でも「見れば分かる」と豪語する男の保安警察官が、ありもしない罪をデッチ上げる。この映画「共謀罪」のこれからの姿を示唆する物だ。観るべし。今月号の「あんな本・こんな本」に書いた「横浜事件」も元はと言えば単なる慰労会を兼ねた出版記念の集まりだったそれを時の官憲が治安を乱すものと見做して「治安維持法で」引っ掛けた訳だ。「弁護人」の筋立てと実によく似ている。

◯月◯日 「紙おむつ製造機」なるものがどんなものか想像もつかぬが、その業界で国内トップの役8割のシェアを占める東証2部上場の「端光」なる会社に、6年間にわっって9億もの申告漏れがあったとて、大阪国税局が調査したと5月末の新聞に出ている。漏れては困る「紙おむつ」の会社の申告漏れとは聞くだに気色悪い。

◯月◯日 最新刊の「精神医療の危機」(やどかり出版)によると、日本には精神科の病床が35万床あり、世界中の精神科病床の2割に当たる由。しかもその内の9割が民間病床、1年間に20万人入院、もひとつ、しかも、最近では認知症の人の入院が促進されていると。

◯月◯日 私が大学生になったのは昭和30年代前半だが、神保町の角で初めて拾ったタクシーの車種はフランスのルノーだった。そのルノーの株主総会(6/15日)で、最高経営責任者のカルロス・ゴーンの昨年の報酬を8億6,500万円と決めた由。先程「呆れてものも言えない」と書いたが、これもその類の話だね。

◯月◯日 浅田次郎が会長を務める「日本ペンクラブ」が「共謀罪強行採決に抗議する」との声明を出した。6月17日のこと。同じ日に「自由と生命を守る映画監督の会」も「共謀罪は内心の自由、思想の自由ひいては表現の自由を侵害するということであって、明確な憲法違反」云々の抗議声明を出した。当然だ。因みに大分前、田中裕子が西太后役の映画(蒼穹の昴だったか)を面白く観たが、原作の浅田は目下「天子蒙塵」で頑張っている。その浅田は中学生の頃、既に東洋史学者の宮崎市定を読んでいたそうで、個人全集を買ったのも文学者のものではなく宮崎の全集だったというから感心する。私は中央文庫の宮崎は全部読んでいるが、今になってみると全集の方が良かったかなと思わぬでもない。もっとも私の中学時代、宮崎の本は未だなかった。

◯月◯日 室蘭市内を走っていて不思議でならぬのは、人口が減っているというのに、次から次とマンションorアパートが建つこと。古いマンションが嫌になって新しいところへ移り、古い方が空き家になっているだけのことかと思うがな。ところで「老いる家、崩れる街」(講談社現代新書)を出した東洋大学建築学科の野沢千恵、日本総合研究所員の藻谷浩介の、「空き家大国ニッポンの現実」なる対談を読んでいたら、「空き家が大量に生み出される最大の要因は都市計画の欠陥にあり」とある。そして問題だと思われる都市として夕張、帯広、苫小牧が上がってきて、ウヒッ次は室蘭かと思ったら、苫小牧で止まったのでホッとした。

◯月◯日 その苫小牧、2010年代に入っての市の東側(つまり沼の端地区)の大区画整理で、イオンが出来て市街地を広げたはいいが、駅前の4つの大型店は全部潰れた、とやられている。これはもう我々が身にしみて知っていることだが、岩倉市長はその沼の端の隣の工業団地になる筈だったが失敗した野っ原にカジノを持って来ようとしている訳だ。大丈夫かね。