司書独言(235)

◯月◯日/ 私が室工大在任中に、庶務課の臨時職員で、学内各所に郵便物や連絡書類を配って歩く男がいた。私のところにもよく来たが、いつも「世が世なら俺はこんな仕事をしている男ではない」と言いたい事がありありと伝わってくる男だった。それである時話して行くようにすすめ、色々と聞いてみると、東北大の物理出身だと分かった。成る程気位の高いのはそのせいかと思ったが、いつしか辞めてしまった。

◯月◯日 それが、私が定年後市立図書館に招かれて移って或る日、その男が来て、今は市内の印刷会社にいるといい、「実は」と切り出した話に私はびっくりした。この男は東北大在学中から研究していることがあって、それは「マリア様の処女受胎」を実証することだと言う。世界には同じ事に血道をあげている人がいることは知っていたがこんな身近にその実物がいるとは思わなんだ。その後この「マリア様」奇跡の実証にこの男が成功したかどうかは知らぬ。

◯月◯日/  物理と言えば室工大の物理の講師だった男も思い出す。早稲田の二部を出た男で、私のところへ最初来た時コーヒーを出すと「飲めない」と言う。たまたま同席していたK子が「病気なのか」と聞くと「モルモン教徒だからだめ」と言う。成る程!と私とK子は納得(?)した。ところがこの男2年も過ぎると「統一教会」に入ってしまった。確か「オーム教」にも慶応の物理出の信者がいたと思うが、物理をやった上でのこの現象どう解釈すればいいのかね。

◯月◯日/ その「統一協会」は今「世界平和統一家庭連合」とやらに改称しているが、その関連団体が開いた大規模集会に、あの馬鹿で嘘つきのトランプがビデオメッセージで出て祝意を述べ、その後にこれ又先天性虚言症の安倍が登場して、協会の開祖故文鮮明の妻で現在同会総裁の韓鶴子に「敬意を表する」とのメッセージを出したと9月8日に報じられた。トランプの後に出て何が嬉しいのかね。

◯月◯日/ これに対して「全国悪徳商法対策弁護士連絡会」が、この安倍の行為は「今後日本社会に深刻な悪影響をもたらす」と指摘して激しく抗議した。賛成だ。しかしまあ、安倍のトンデモ妻君の昭恵はオカルト好きの女だから、安倍もそれに感化されて、「尊敬している」と言うのは案外、社交辞令でなくて、本気かもしれんな。

◯月◯日/ 今日は9月28日(火)。大谷はまだ9勝、ホームランもまだ2位、待ち遠しいと思いつつ新聞の切り抜きを整理していると、川柳欄に「ニトーリューきっと英語の辞書に載る」(尾根沢利男)がある。全くだ。うまいもんだ、英語辞典の最高峰「OED=オックスフォード英語辞典」にだってきっと載るわと思いつつ、ところで、「二刀流は」英語で何て言うのかなと「百科和英」(旺文社)を見た。すると、左右両手に長短の刀を持って戦う剣術の流派。宮本武蔵の創始と言われる。の後に「a school of fensing  with a sword in each hand」とある。そりゃそうだが、もうちょっと面白い説明があるかと思った,で余り面白くなかったね。

◯月◯日/ 9月上旬、国後島から対岸の標津まで約24kmの海を泳いでロシアから逃げて来た男がいたと報じらてた。38歳のフェニクス・ノカルド。「プーチンもう嫌」がその理由で、約23時間泳ぎ続けてきたという。何たる体力!!これで高2の時読んだアメリカ人の書いた「ロシア人」(だったか忘れた。今手元に岩波新書総目録がないのでわからない)を思い出した。ロシアの国民性他を書いた本で、例えば「ロシアの女の軍隊が行進して角を曲がる時には、まづ胸が見えてくる」とあった。ロシア女が皆々巨乳とは思えないが、まあ、その体格の良さを言ったのだろう。

◯月◯日/ 又「ロシアの軍隊は撤退するとなれば、追われる事を防ぐために、鉄道のレールを外して肩に担いで逃げる。しかも、三日三晩走り続けてもへこたれない」ともあった.読んで、古くはナポレオンの遠征、近きはヒトラーのロシア攻め、更に満州に侵入して来て日本人を平らげた。etcを思い出して、この体力相手じゃとても勝ち目はないなあと、高2の時にそう思ったことだった。日本兵の記録でも撃沈されて、海に放り出され、何時間も漂ったなんてのがあるが、この男は泳いで来たもんな。イヤイヤ驚き!!

◯月◯日/ 9月6日、ジャン=ポールベルモンドが死んだ。88歳。新聞に「従来のスター俳優とは似ても似つかない顔付きだったことがファンの熱狂に拍車をかけた」とあって、対して「端正な顔つきの代表たるアランドロン」とある。つまりドロンは美男で一方は〜と言うところを遠回しに言った訳だが、同じ日の川柳欄には「ブ男のヒーロー創った人逝きぬ」とあって、こっちはストレートではっきりとしている。何だか笑えたね。

◯月◯日/ これ書いている今日は9月30日。15号台風のおかげで室蘭も昨夜来から雨だ。ところで前号で私の高校時代の書道の先生「若干」のことを書いたが、思い出したことがあるので足す。それは漢字学者の「白川静」著「文字問答」(平凡ライブラリー2014年刊)¥900+税⑦p59)にある話。「いくらか」「多少」という時に「若干」といいますが、どういう意味でしょうか」がそれ。

◯月◯日/ 白川はこれは中国では古い言葉で、「礼記」に既にあり、それは天子様の年を聞かれた時は年齢を明示せず「衣の背丈は若干です」と間接的に答える。と言うのは,至尊(=天子様)のことは何事によらず明から様に言わないのが例だからだ。と説明して、更に幾つもの古典を引用して結論は「若干は誠に古い語ですが、今でも本来の意味のまま使われている、大変珍しい語の一つです」とくる。この話に若干でも興味を感じた人は読んでたもれ。

◯月◯日/ 今、北海道では熊による事件が頻発している。新聞の見出しは例えば「札幌の住宅地でクマに襲われ4人負傷」「犬襲ったクマ18、19年と同じ」「襲撃のクマ同一個体か、3年間で牛52頭死傷」「縄文遺跡、クマ出没で閉鎖」etc。それで思い出したのは中西進の「古代往還(中公新書、2008,¥840+税)。第2章が「森羅万象」で最初にクマが出て、アイヌ語のクマは「カムイ」、古代韓国語では「コム」で意味は両者とも「神」。中国では熊を祖先とし、一族の霊として崇めたらしい。この現象は東アジア3国だけではなく、英語のbearも本来の意味は神。

◯月◯日/ 日本に来たマッカーサーはマック・アーサーでつまり、アーサーの息子で、アーサーは「クマ」のこと、だと言うからびっくりだなあ。と言う訳で、この本も興味なる人は読んでたもれ。蛇足だが、中西進は、年号「令和」の発案者、あの歴史探偵の半藤一利が、東大で卒論に「万葉集」をやろうとしたら、やめろと言った同級生がいて、半藤は知らなかたが、同級生曰く「中西は万葉集の全4,700首を全部暗記している男だから」云々。敵わんなあ。

◯月◯日/ ジャーナリストの伊藤詩織に性的暴行を加えたのはTBSの山口敬之。この男は安倍のメンコ(北海道弁でお気に入り)。何故かこの男安倍ベタボメの「総理」なる本を書き、それを安倍の事務所が何百だか、何千部だかを買い上げたと言う仲だ。このことはこの欄で昔書いたことがある。この男、伊藤に訴えられて、確か米国から帰国して成田で捕まる前、どう言う訳か、この逮捕が取りやめになった。その理由を当時の週刊誌は安倍の意向を受けた当時の警視庁刑事部長の中村格が握りつぶしたのだと報じた。その中村が9月下旬警視庁長官に出世した。「メンコ」の威力だ。

◯月◯日/ ところで伊藤のことを「枕かせぎ」と貶めたのは、これまた安倍のメンコの卑劣な杉田水脈だった。非道い事を言う、と聞いて呆れ、かつ腹が立ったが、当時私の周囲の50代、60代のオバサンで伊藤に味方せぬ者が数人いたのにはびっくりした。彼女らの言い分は「山口も悪いが、伊藤も脇が甘い」とだった。これは相撲から来た言葉で「守りが弱い様」を言う。然し伊藤は酔って寝てしまった(らしい)所を昔風に言えば山口に手込めにされた訳だ。こんな卑劣な山口を非難せずにしたり気に伊藤を叱る女は仲々非情な者だなと想ったものだ。

◯月◯日/ 山口は酔いつぶれた伊藤を〜と言う事らしいが、これで罪になるのか。私が暇な時に(と言っても私には暇な時など全くなく、暇を持て余すという経験は一度もないが)拾い読みする、「流行語・隠語辞典」塩田勝(三一新書1981)がある。その辞典の「強姦」の所に「気絶している女性を犯したら、暴行脅迫などの強制手段を用いなくても、相手が心神喪失抵抗不能の状態にいるのを”それ幸い”とばかりに犯した場合として、準強姦で処罰される(刑法178条)とある。この条項が変わっているかは知らぬが、何にしても山口の罪は許せるものではない。

◯月◯日/ この辞典を拾い読みすると書いたが、1.2面白いのを紹介しよう。日本には民謡で「コラ、サッサー」など色々古い囃子詞(はやしことば)を使う「ホイホイ」もその一つだ。ところがこの「ホイホイ」。ロシアでは性器を意味するスラング(俗語)だ。それで、ダークダックスがソ連時代、行って日本民謡を歌った時「ホイホイ」と手拍子でやったら満座の女性が赤面したと言う話が出ている。

◯月◯日/ 調子に乗ってもう一つ書く。「コ」の項に「コン」がある。これはフランス語で、スペルは「con」で意味は「女性器」。これで思い出した,真偽定かならぬ話がある。作家の今日出海が文化庁長官になって、渡仏した時、飛行場で起きたとされる事件だ。何の必要あってか、場内放送があって、「お呼び出し致します。今様、今様、おいでになりましたら」と言うこの「今様」は「monsieur   con」でムシューはMrだから「オー◯◯コ」様となる。聞くや満場立ち上がって、となって、これを教訓に以後苗字が「今」の人はパスポートに「イマ」とルビをつけるようになったという話。

◯月◯日/ 然し、今日出海は確か東大仏文の出だ。「con」を知らずに行ったとは考えられぬ。この話の出どころは知らぬが私は室工大在任中の30代に知った。それで我が家に飲みに来た学生達にこの話をしたら、中に一人「満場立ち上がるとは信じ難い」というのがいて「何故?」と聞くと、「con」を聞いて立つのは男だけです」と妙な理屈を言う。この学生、その年の大学院の試験に落ちた。屁理屈の論文でも出したか。私思うに、ナニカニツケ「理屈ぽい」のはよくない。

◯月◯日/ 今日は10月2日。昨日変わったニュースが出た。旧約聖書の「創世記」に死海周辺の都市ソドムとゴモラの市民が余りに不道徳なので怒った神の火で焼く尽くされたと言う話が出てくる。ところがー英の科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に国際チームの共同研究の結果として。約3,600年前、隕石が大気中で引き起こした爆発で、死海周辺の古代集落が破壊されたとわかったと発表したこの古代集落に当てはまるのが、例えば「ソドム」だと言いたいようだ。

◯月◯日/ 話を戻して、旧約聖書にはソドムとゴモラの市民達が悪徳にふけったとあるが、ではその悪徳とは何か。先に引いた辞典に「Sodomy」(ソドミー)なる言葉が出てて、その意味はソドムの市民が好んだ「男色」「獣姦」「鶏姦」だとあって、学名は「sodomia」「創世記の」「19」の「4」にこのことが書かれている。神からすればこれらの行為は正常ならざるもので、それゆえ神は劫火を持って両市の市民を焼き殺し尽くした訳だ。

◯月◯日/ 然し、思うに、これは神の仕業でなくて、自分達の行為のみが、正常で、かつ神の意に適得るものとする保守的な連中の思い上がった観点から出た行為だろう。「LGBT=性的少数者」を神の意志=自然に反しているとする者は未だにワンサといる。旧約聖書の時代の感覚まんまの人間は事欠かない。

◯月◯日/ 先の国際研究だが、チームの一人は「隕石の爆発が広大集落を破壊したことは確かだが、それがソドムだと言う科学的証拠はない」と逃げをを張っている。「ソドム」と断言して、世界中にいる旧約聖書至上主義者達から、攻撃されたくないのだろう。そのうち、ソドムとゴモラの美術史でも取り上げた見よう。

2021.10.2    山下敏明

 

 

司書独言(234)

◯月○日/  8月15日の中国のニュース。江蘇省政府は、同省の観光地揚州市のデルタ株のコロナ対策が失敗だとして、副市長と共産党書記を解任処分したと。読んで「菅」も中国にいたら、疾うの昔に首だよなと思ったことだった。それが9月に入って漸く引っ込んでくれた。呉れたはいいが私の頭には「空は晴れても心は闇だ」のせりふが浮かんだ。これ、「金色夜叉」の貫一のセリフだったか。或いは何か浪花節のせりふだったか。私の言いたいのは「菅は消えても日本は闇だ」ということ。

◯月○日/   振り返れば、官房長官の時の問答無用の冷血漢菅の面と目を見ればこの男が如何にロクデナシか分かる筈なのに、メディアは本当は違うのに「叩き上げの苦労人」と褒め、又名誉欲にかられた作家の瀬戸内寂聴なる婆さんも菅を「品もよく、立派な首相づらしている」と何の見返りを狙っているか褒め、すると馬鹿な国民の6割がそれらを信じて支持し、と言う下らぬ現象が起きてしまったのだった。並みの人間なら「菅の顔は特高面だ」と言った作家の辺見庸の言葉の方が当たっていると思うところだがな。蛇足だが「特高」とは作家小林多喜二を殺した思想警察だ。もっとも菅の支持率は今2割になったから、4割の国民は正気に戻った訳だ。

◯月○日/  「菅は消えても日本は闇だ」と何故思うか、となればそのあとを引き継ぎたいと名乗りでた連中の顔ぶれが悪すぎるからだ。ここに前田勇の「江戸語の辞典」があるが、中に「み度でも無い」があって、意味は「見たくない」を強めて言う「見るのも嫌だ」の意だとある。これが更に変化というか進化というかしての言葉が北海道弁にある。石垣福雄の「北海道方言辞典」にある「ミッタクナイ」がそれで「醜い、見苦しい」つまり「ミタクナイ」程醜い訳だ。これが如何にぴったりと当てはまるかを、再度菅の後釜狙い候補の面々を見直して確かめてごらんなさい。

◯月◯日/ 何故か色男ぶってやたらニヤつく岸田。妙に自信ありげに見せたがる杓子づらの河野.いつも「睨めっこしましょ」的に目を向いて見せる石破。必要ないのにその厚い面の皮をほころばせて微笑もうとするも失敗してすぐに本音の冷たい表情に戻る高石(そういえば菅の微笑を見たことがないが、あれは悪念凝りすぎて顔が固まってしまったんだろうな)野田も高慢ではち切れそうな面だ。見たくないのは面だけではないぞ。この連中の思想も褒められたもんではない。岸田は核兵器使用容認で改憲論者、河野は外相時代に菅を真似てか対ロシア外交についての説明を一切拒否、一方韓国大使を呼びつけて「無礼ですぞ」と江戸の奉行所みたいに脅かして見せたりと、ともかく強がって見せたがる男、靖国参拝の高市は自民党の中でも今や歴とした極右、石破は沖縄の辺野古移設の容認派、etcで,その誰もが安倍に責任を取らせようとはしない、つまり(自民党の世が変わらん限り)「日本は闇なのだ」と私は思うがね。

◯月○日/   要するに、安倍、麻生、二階、と「見度でもない」連中が消えてくれないと、日本の一切合切がが好転しないということ。毎度積み重なっていくこの「ウンザリ感」、下手すると皆「死にたく」なるぞ。菅が消えることに対して、「ぶれずによくやった」なぞと、これまた何を狙っての発言かと思えるのを述べた鉄面皮な鈴木宗男だの、菅を褒めちぎるアトキンソン(昔菅に拾われた男)の様な馬鹿は別として、胸のすく感想を言ったのは、元文部科学省事務次官の前川喜平、曰く「〜国民の命、暮らしをないがしろにし、自分の権力拡大しか考えていなかった。首相の地位に恋々としがみつき、そのために権力を失った。「自業自得です。」この「恋々としがみつき」は菅がかつて前川を貶めたときに使った言葉だ。前川が現役の時、菅は読売新聞を使って、前川がキャバクラとやらに出入りしていると誤報を流した上、国会で前川をおとしめたのだ。

◯月○日/ 「わきまえない」なる言葉は脳天気の森が使って広がったが、考えてみれば菅が一番わきまえない男で、何を過信したか己の分際をわきまえず総理になり、なったはいいが結果、その職に座るべきではない、能力ゼロの男だと言うことを天下に露呈した訳で、改めて「よせばよいのに」と笑ってしまう。前川の言う通り「自業自得」だ。それにしても、教養のなさ言葉の不足、情勢を把握できない頭の悪さetc,「菅百馬鹿物語」でも直ぐに書けそうな程に、情けない男だったなあ。国会での答弁を見て、朝日の記者が、その無能ぶりについて、「〜痛々しい」と書いていたが、普段の態度が悪いから同情する気にもなれぬ。

◯月◯日/  嘘八百並べる先天性虚言症の安倍の後に、これまた、先天性国語力不足男が続くとは!!天は日本を見捨てたのか?と、問いたくなる、しかも、その虚言症がまだ大きい顔をしてキングメーカー(政権の重要ポストの人選に発言権を持つ人)ぶっているとは!

◯月◯日/  新聞で小学校に入学した長男が〜と言う投書を読んで驚いた。学校が推奨する鉛筆が「2B」だと知って、このお父さんは自分の時には「HB」か「H」だったのに、と不思議になって調べたそうな。その結果今時の小学生は筆圧が弱いので「H」ではダメとわかった。そしてその原因は、今水道で蛇口をひねることもあまりなく、タブレットやらの普及で、普段字を書くことがないからだと判明した。この筆圧で思い出したのが、高3の時の書道のE先生だ。Eのニックネーム「若干」で、それはEが「そこは若干跳ねて」とか「ここは若干力を入れて」とか、「若干」を連発するからたった。

◯月◯日/  或る日、授業が始まって若干過ぎて、「若干」が黒板に向かって何かを書き始めた時に、私は半紙を出したあとの紙袋を膨らまして、何気なしに割った。するとやった私が驚いた程に「パン」と大きな音がして、同時に「若干」が若干どころでなく、私の見た所では30cm程とび上がったのだった。振り向いて、「若干」は私が紙袋を手にしているのを見ると、「こら、敏明、出てこい」と言った。私は別に故意にやったわけではなかったので、悪びれず出て行った所、「此処に立ってろ」と言われ、黒板を背にして、皆の方を向いて,「若干」通り越して、終了のベルが鳴るまで立たされた。

◯月◯日/  と此処まで書いて、我が家にも遊びに来たことがある同級生だった「若干」の娘のH子を思い出した。鼻高のH子は我が家に遊びに来て観察した結果を「山下さんの机の引き出しの中はきちんと整理されている」(いつ見たもんだか)と言った具合に同級生のY子に報告していたらしい。それが大学入学後の或る年の夏休み、日進堂書店に行くとH子がいて、私が思わず「H子、えらくきれいになったなあ」と言うと、あにはからんや「若干」が書棚の影から現れて「こら、敏明、みだらな事を言うではない」と怒られた。それ以後H子にあった事はないが、H子は東京在住で今でも、東京での同窓会に(私は出た事なし)出席した誰彼に私への伝言をよこす。ところが、H子は何年前だったか、東京の仲間とエジプトに観光旅行に行ったとかで、その時の写真をY子が見せにきた。ピラミッドの前に2〜30人程並んでいて、中にはターバンを巻いた目鼻だけの女装したフセインみたいなのもいる。誰が誰やらわからない、それで聞くと、ナントそのフセインがH子だった。若干、「時の移ろい」を感じたね。

◯月◯日/ 私は酒は強い方で、何でも飲むが、昔はウオッカだとか、ラキだとか、強い酒をストレートで飲むのが好きだった。それで、人並みに宿酔(二日酔い)する事もあったが、そうすると、いつでも熱い湯に入って汗を流してから、コカ・コーラを飲んで「カッパ巻き」を食うと直る、まあ薬いらずの方だった。ところが最近そのコーラが嫌いになった。その訳は....今回の五輪で、鹿島サッカースタジアムに鹿島市内16の小中校生が観客動員される事になったが、市教委に対して、五輪側から、会場に持ち込み可能の飲み物はコカ・コーラであること。もし他社の飲料を持ち込む場合はそのボトルのラベルははがして来いとの指示が出たとのニュースを読んだからだ。発案の出処は知らずだが、ナントエゲツナイ事をするのだろう。今度宿酔したらペプシに変えてやるぞ。

◯月◯日/ コカ・コーラで思い出したのは米の「ベン&ジェリーズ」なるブランドのアイススクリームの話だ。この会社は「ブラック・ライヴス・マター=BLM=黒人の命も大切だ」運動やL GBTQ+(性的少数派の権利)保護を支持してきた会社だという。この会社が、イスラエルでの販売を取りやめると発表して国際的に評価されているという。事の次第は次の如し。

◯月◯日/ ヨルダン川西岸をイスラエルが1967年以来占領して入植を続けている。これは国際的に言うと違法だというのが多くの国の立場なのだが、イスラエルは聞かない。それでアイスクリーム会社はBDS(ボイコット・資本引き上げ制裁)の手に出てこれが評価されている訳。70年以上もイスラエルはパレスチナを傷め続けているが、これに抗議している一人に、路上画家のバンクシーがいる。「ベン&ジェリーズ」なるブランドを今迄知らなかったが、今後見つけたらパレスチナ支援の意味で食べるつもりだ。

◯月◯日/ アメリカは同時多発テロ後の20年間世界各地で対テロ戦争を行ってきたが、その戦費たるや日本円で881兆円だという。無駄金だなあ、更にその間死亡したアメリカ人は92万9000人で、その4割が民間人だという。軍人も含めて言っちゃ悪いが、無駄死に、犬死にだと思うなあ。馬鹿なブッシュの息子と戦争大好きなラムズヘルドに引きずられて、したくない戦争を始めて、挙句これだけの犠牲だ。

◯月◯日/ 数ある戦争の中、今問題のアフガン戦争でアメリカが使った金は250兆円、死んだのは米の軍人が約2,500人、アフガン人約24万人。先日これについての投書があって、その人は全長25㎞の用水路を作った中村晢医師がかけたお金は約20億円。だといい、もし武力に使った250兆円が、この平和事業にむけられていたならなあと嘆く。全く同感だ。ラムズフェルドはこの間死んでくれたが、ブッシュはまだヌクヌクといきている。

◯月◯日/ 図書館は「利用者の読書事実を外部に漏らさない事」を原則としている。戦争中読者ガードを使って、例えば特高たちが利用者の思想調査をした事などを教訓として出来た鉄則だ。要するに、読者の思想・信条に関するプライバシーを守ろうとするものだ。だから、警察が来ても令状なしの調査には応じない。然るに「親心子知らず」というか、最近「昔自分の読んだ本を知りたい」てな事を言ってくる利用者が増えているとして「貸し出し履歴を保存して提供する」サービスをする図書館が増えているという。私なぞは自分が読んだ本、自分が買った本位、自分で記録しておけと思うが、時代が変わってきたのだろう。

◯月◯日/ 私の友人ではないが知り合いに北大工学部を出た70代の男がいる。美術館、博物館、行った事なし、本を読むのは大嫌い、趣味はスケアダンス。その曲200曲を鼻で歌えると自慢する。その男が妻君を亡くして、女性の集まるグループに近づいたが、女達がつけたニックネームが、ストレートに「馬鹿男」(ばかお)。コンビニで買ったおにぎりの表面積を算出したりするのも好きだ。で、この男マイナンバー制度が始まると直ちに市役所に出かけて取得し、その事を自慢にきたので、「プライバシーが問題視されている制度だよ」と言うと、「俺は悪い事していないからなんの心配もない」と言う。こういう手合いは、先の図書館の履歴保存の原則などどこ吹く風だ。目下悪政を重ねた菅が始めた「デジタル庁」とやらについて、識者の多くが懸念を述べているも、こうした「馬鹿男」達には通じない。そのデジタル庁事務方トップの一橋大の名誉教授とか言う女学者が「著作権のあるものを無断使用した」と分かって公式謝罪した。個人情報だだ漏れのこの剣呑な制度、学者の多くが反対しているのに、黒柳徹子だの、あのヌードに近い写真集を何万部だか売った田中みな実という元アナウンサーが宣伝役に駆り出されている。思えば、黒柳徹子も体制順応派だもんな。

 

司書独言(233)

◯月◯日/ 照の富士と白鵬との優勝決定戦を私は観ていないが、報じられた所を読むと、一種のケンカ相撲の様なものだったらしい。つまり、白鵬に品のカケラももなかったと言うこと。読んだ後、きっと誰かがあの言葉を言うだろうなと期待していたら、案の定、新聞の投稿欄に出た。「木鶏」という言葉だ.これ「ボッケイ」と読んで、壮子の「達生編」に出る言葉。

◯月◯日/ 紀消子(せいし)なる人物が王の為に闘鶏を飼っている。その鶏は最初虚勢を張って強がっていたが、日が経つにつれて立派になって、最後には他の鶏が鳴いても動じなくなり、遠くから見るとまるで、「木彫り」の鶏に見えるーと言うことから「徳が完全に充実して保たれている様」を指す言葉となった。

◯月◯日/ この言葉が有名になったのは双葉山が69連勝の後、安芸ノ海に負けると「我いまだ木鶏たり得ず」と言った時からだ。つまり双葉山は己の心身ともに未熟なるを恥じた訳だが、この言葉を出すこと自体が彼の教養とつつましさを示して真、感心させられる。私はこの言葉を小学生の時に双葉山のファンだった父から初めて聞かされた。投書の主は78歳の男性で、勝ちたいばかりに張り手、カチ上げを連発した白鵬を非難し、「双葉山の”われ木鶏たりえず”に倣いたいそうだが、道は遠しだ」と締めくくる。同感だ。白鵬も誰に聞いたか、この言葉は知っている訳だが、カチ上げをする様じゃ、鶏にも笑われるな。

◯月◯日/ 週刊誌によると五輪の開会式で、天皇が挨拶しているのに菅は起立せず、小池に注意されてから立ったという、これ「不敬」だ、なんだと言う前に、要するに単純に失礼じゃないのか。土台、自民党は卒業式だ、入学式だで「君が代」を歌うかどうかをチェックして来たくせに、「そのトップ」があろうことか、天皇が立っているのに座ったままとは!「誰も合図してくれなかったから(立たなかった)」と言い訳しているというが、安倍が前相の時、一同揃って嘘つき男を待っていて、その嘘つき男が入ってくると、いの一番にしゃっちょこばって起立していたのは誰なんだ。菅だろうが。「神の国」の住民振りたい「HANADA」だの「Will]だの「正論」だのの面々もよくこんな非礼を許しておくもんだなあ。

◯月◯日/ 新聞によると、その五輪開会式を見たビートたけしが「昨日の開会式で、ずいぶん寝ちゃいましたよ、驚きました。金返して欲しいですよね。税金からいくらか出しているだろうから、金返せよ。外国に恥ずかしくていけないよ」と言った由。これだけ聞くと、たけしは政権批判者に見えるが、その実そうではない。佐高信は「完全に芸術家気取りのビートたけしなんかも官邸に呼ばれてのこのこ行ってしまうわけだよね〜これではもう毒の効いた政治批判なんかできる訳がない。取り込まれちゃってる感じですよね」と言う位だ。

◯月◯日/ 7月31日の各紙に「安倍前首相を再捜査へ」なる記事が出た。つまり「桜を見る会」前夜祭に関して、安倍が不起訴となったことについて、東京第一検察審査会が「不起訴不当」と決議した訳で、安倍が又調べられる訳だ。これで思い出すのがタレントの太田光。ナニシロこの「桜を見る会」に呼ばれて、安倍と並んでハシャイデ、挙句「今度番組に出てくださいよ」と頼み込む始末。これに「いいですよ」と答えた安倍にしてみればこんな組し易い相手はいない。以後いくら太田が牙をむいたかに見せても、安倍は屁とも思わぬだろう。浅はかなタレントの代表だ。

◯月◯日/ 東京五輪でフェンシングの優勝は香港だった。その表彰式の様子が、香港のショッピングモールで放映されて、中国国歌が流れると、モールにいた数人の市民から「我々は中国ではなくて香港市民だ」との声が上がり、一勢にブーイング始まったーとてー、国家条例違反で初めての逮捕者が出た由。7月26日のこと。

◯月◯日/ この条例昨年6月に成立したもので、中国国歌の替え歌などを歌って「国歌を侮辱する者は禁固刑を科す」などとした物。今回はブーイングが良くないという訳だ。ところで「義勇軍行進曲」との別名を持つ中国国歌の作曲者は「聶耳=二エアル」という人で、作詞者は「田漢」だ。そしてこれは日本で作られた。そのことを私は2018年3月4日付け「本の話」第748回で書いた。この時紹介した本は岡崎雄児「歌で革命に挑んだ男」(新評論、2015、¥2,800)と 田偉、「田漢、聶耳・中国国歌八十年」(論創社、2015、¥1500)の2冊。その後2019年に岩波から久保享「日本で生まれた中国国歌」(¥2,400)が出たが私は未読。今回の事件を機に読むつもりだ。それにしても習近平の香港への締め付けは目に余る。

◯月◯日/ 言い方は悪いが、アメリカの元国防長官、ドナルド・ラムズフェルドが6月29日、88歳で漸く死んでくれた。例の2001.9.11のニューヨークのツインタワーが体当たりされ後の「対テロ戦争」を担った男だ。世界に混乱をもたらした張本人だ。イラク戦争は間違っていた。どう間違っていたかは例えば、板垣雄三著「”対テロ戦争”とイスラム世界」(岩波新書、2002)を読めばよく分かる。門奈直樹の「現代の戦争報道」(岩波新書、2004)も参考になる。馬鹿ブッシュもこの戦争好きラムズヘルドに引きずられた。罪作りな男に牛耳られると国の不幸が始まる。

◯月◯日/ 「棄民」という言葉がある。どう言う訳か、あの辛辣な「新明解」他小辞典には出てないがー戦争や災害などで困窮している人々を国家が見捨てること、またその人々」の意だ。日本の政治家はこれが得意だ。例えば満州に送り出した開拓民を、ソ連が攻め入るとなった途端に関東軍以下政治関係者たちがが彼らを捨てて逃げ帰って来た。置き去りにされた開拓民達が即ち「棄民」だ。こんな話を思い出したのは、菅が、またこれを始めたからだ!「原則自宅療養」がそれだ。

◯月◯日/ これを発表するに際して、公明党の女議員がどうして尾見に相談しないのかと問うと、答弁役の前髪垂れ男の田村が偉そうに「決めるのは我々だ。我々は政府なんだよ」と言った意の答弁をした。これはつまる所、国民を棄てる=棄民政策で「どうぞ自宅で安らかに(とはいかないが)死んでいきなよ」と言ってると同じことだ。この辺りを「インターパーク倉持呼吸器内科」の倉持仁院長は、菅と小池が言っていることは「”国民にまっとうな医療体制は供給しません”」というメッセージだと思うんです」と言い「こういう人達に国を任せていては国民の命は守れませんから、二人とも早急にお辞めになった方がいいと思います」と言う。

◯月◯日/ これを正論と言わずして何を正論と言うか。尾身も小馬鹿にされてないで、あのボソボソした声をもうちょい張り上げて、もっとストレートな物言いをした方がいいと思うがね。繰り返すが「国(と言ったって、発案するのは菅のような能無しの腹黒いだけの政治家達だが)は国民を棄てる、見殺しにするのだと言うことを国民は肝に命じるべきだと思うがね。

◯月◯日/ その菅だが、官房長時代に、一丁前にアメリカに挨拶に行った。その時に「米国家安全保障会議」なるものの、ポッテンジャーアジア・上級部長とやらに8374💲日本円で約92万円のウイスキーを贈った。と言うことが8月4日に分かった。と新聞に出た。その報告書はさらに1999年にも日本政府がポンペオ国務長官に約64万円のウイスキーを贈ったとある由。もっともポンペオはもらっていない言ってるそうだから、既に誰かの小便になってしまっていることだろう。

◯月◯日/ 接待と言えば、トランプが来た時に安倍が接待に使ったお金は〆て4,022万円。例えば千葉でゴルフの際、ゴルフ場貸切のために99万円、六本木の炉端焼きの店の同じく貸切に100万、そこへ入る迄の赤絨毯に30万、マスクならぬ目隠しテントに52万円、食ったの入れると206万、宿泊費732万円etc、私の記憶では両国に相撲見に行っている時の椅子が確か一脚20万だったが、それが含まれていないようだから、総額はもっと行くだろう。私思うに、安倍ほど官費旅行と官費食事を楽しんだ政治家はそういないと思うのだが。それにしてもなあ。

◯月◯日/ 聞いて、知って、こちらの血圧が上がる話がまだあるぞ。菅の去年の所得いくらだと思う。〆て、3,871万円。このうち原稿料、テレビ出演料他の雑所得が757万円。日本語をまともに使えない男が書いた本を読む人間がいることに驚くが、あの無能丸出しの答弁能力0男にテレビ出演料が払われているとはなあ。しかし国民の側はどうしてこの男に腹が立たないのだろう。

◯月◯日/ あいちトリエンナーレ美術展」で偽署名問題を起こした河村名古屋市長という男、その顔、声、しゃべり方etc、私は生理的に全く受け入れられないタイプだが、その男が、又しても気色が悪いことをしてくれた。東京五輪で優勝の選手の表敬訪問を受けて、その金メダルを噛んで見せたのだ。大体私は金メダルを噛んで見せること自体好きでない。本物の金かどうか噛んで確かめるのは、偽金かどうかを確かめる動作で、本来品のいいものではない筈だ。それも他人のものを噛んで見せるとは!!汚いも甚だしい。私が思うに、この際、河村は自腹を切ってIOCに頼んで新しい金メダルを作ってもらい、その綺麗なメダルを後藤選手にバッハから渡してもらうべし。

◯月◯日/ そして自分が汚したメダルはこれも謝罪分込みで引き取って、己の愚行のいましめとして市長室に掲げるべし。そうすれば河村去って後もそのあとに座る新市長に対して、こよなく警告の役目を果たすことだろう。して又市民にとっては2度と、かくの如きおぞましい市長を選んではならぬとの教訓となるだろう。

◯月◯日/ とここまで書いて「本の話」のゲラ刷りを室蘭民報に送り返すべく郵便局に向かう途中にラジオをかけると、菅が広島の平和式典での挨拶で「読み間違い」と「読み飛ばし」という二重のミスを犯したとのニュースだ。「読み間違い」の方は「広島市」を「ヒロマシ」といい、「原爆」を「原発」と言った由。何しろアセアンの会議に出てアルゼンチンという前科者だ。「飛ばし」の方は以下の下線の部分。「核兵器のない世界の実現に向けて力を尽くします」と世界に発信しました我が国は核兵器の非人道性をどの国よりもよく理解する唯一の戦争被爆国であり、「核兵器のない世界」の実現に向けた努力を着実に積み重ねて行くことが重要です。近年の国際的な安全保障環境は厳しく」大事な所を随分と飛ばしてくれたものだ。これは国語力の不足というより、すっとぼけたズルサからきたものだね。

◯月◯日/ この広島のあと、芸人の中居が、司会する番組で菅を「カン首相」と間違ったとて謝ったと報じられた。これ意図的にやったのなら、多少は「反骨」の気があって面白いが、だとしても、既に麻生がやってるから二番煎じだな。麻生は菅就任時自派の集会で「今度はカンが、いやスガだったか」とスガをおちょくった。この性悪の男にしてみれば、スガが自分の上にいるのが面白くないのだろう。それにしても「国」の面をした菅や麻生に棄てられる前に、国民の方が彼らを棄てた方が国のために良いんじゃないのかね。「棄民」にされる前に「棄政府」だ。

2021.8.7  山下敏明

 

司書独言(232)

2021.7.16寄稿

◯月◯日/知らなかったが7月3日は「ソフトクリームの日」なんだと。そう知って食べたくなり、コンビニに行ったら、8個買うと1個のおまけという仕組みで9個買ってきた。北海道だけの「メロンソフト」@¥185+税。日本のアイスクリームの最初は明治2年(1869)横浜の馬車道で、町田房造が作って売った。銀座の資生堂は明治32年(1899)に1個15銭で売りだした。私が小学生の昭和20年代初めアイスキャンデーは確か10円だった。「ソフトクリームねぶりまわしてついに無し」(吹田弧篷)メロンと言えば室蘭に近いところでは有珠がメロンの産地だ。国道37号線に約1kmの「メロン街道」がある。日持ちがしない「青肉」のキングメルティーという種類を作っているので即売だそうだ。

◯月◯日/スガが又もや「緊急事態宣言」を出そうとしている。7月7日に東京のコロナ感染者が920人になったからだ。これで、酒を出す店が皆泣いている。そんなにオリンピックをしたいのなら、飲食店全部に金を出せばいいと思うが、そこへくるとケチル。金がないはずない。と思うのはーあのトランプのバカ娘イバンカとやらが来た時、安倍は鼻の下を伸ばし、この一補佐官に過ぎぬこの娘を国賓待遇し、おまけに彼女が関係するナントカ基金に数十億円の寄付をした。あの額を出せば都下はおろか、全国の飲食店に補助金出してもお釣りが来ることだろう。

◯月◯日/と思っていたら、灘高➝東大とエリートコースの大臣西村が、酒の取引停止という馬鹿な案を言い出した挙句、要請撤回に追い込まれた。仲間同士の密告をすすめるようなこの法案を思いついた西村は東大でボクシング部に入っていたそうな。ところがこの狐顔の男、あの顔が自慢で、ボクシングの練習中に「顔だけは殴らないでくれ」と注文をつけていたそうな。しかし金融機関に脅かしを頼むというヤクザも驚くこの案を考案したところを見ると、練習中に頭を殴られ大分脳内ひび割れしているのかもしれないな。

◯月◯日/今月の「あんな本こんな本」にジャスパーベッカーの「餓鬼ー秘密にされた毛沢東中国飢饉」の書影を出しておいたが、毛沢東の農業政策はスターリンに学んだものだった。ところが、そのスターリンはインチキ学者の遺伝学者ルイセンコやミチユーリンと言った連中の偽学説に惚れ込んで、とどのつまり、ソ連の農業をダメにし、その結果数千万人を餓死させた。「偽学者を信用し、まともな学者の意見を取り入れないスターリンや毛沢東は、はったり屋の竹中平蔵を買いかぶり、尾身博士をないがしろにするスガの姿にダブってみえるな。もっとも尾身ももうちょっとハッキリしたものの言い方をしたほうがいいよな。

◯月◯日/このルイセンコついては、黒木登志夫の「研究不正」(中公新書)中で「スターリンの庇護のもとに弾圧したルセンコ」なる事例がでているし、中村禎里の「ルイセンコ論争」(みすず書房,1967年刊)なる名著もあるからそれらを見て欲しいが、今そのソ連における飢餓をテーマにした素晴らしい映画がある。去年の8月に封切りされた「赤い闇、スターリンの冷たい大地」がそれ。スターリン政策下ウクライナで数100万人が犠牲になった大飢饉の話だ。

◯月◯日/英国のジャーナリスト、ガレス・ジョーンズが様々な邪魔を押しのけて、スターリンの政治宣伝を覆す報道を果たす姿をくっきりと描き出す。真実を追求するジョーンズに対して、スターリンに取り入りその宣伝屋に成り下がるニューヨークタイムスの特派員ウォルター・デュランティがいる。この男世界に向かって嘘を流しつづけ、その甲斐あって1932年度のピューリッツア賞までもらってしまうのだ。安倍や菅にとりいる田崎の爺さんはこの小型だな。

◯月◯日/西村の酒屋いじめを知らないと答えたスガはじめ、目下の我国も「嘘=フェイク」だらけだが、「嘘の仕組み」を見破るためにも、この「赤い闇」是非見て欲しいものだ。映画と言えば「ホテル・ルワンダ」はルワンダの少数派民族のツチを多数派のフツが大量虐殺した事件がテーマだ。この時ツチ族を助けたのが「ルワンダ・ホテル」の支配人ポール・ルセサバギナだった。この大量虐殺では80万人が殺された。ところが、去年の9月、ルワンダ当局はこの支配人を過激派テロ組織創設に資金援助をしたとして逮捕した。真相は未だ分からない。然しこの映画は観ることをすすめる。この事件については「ルワンダの涙」という非常に優れた映画もある。

◯月◯日/ルワンダの事件は1994年4月初めにフツ族出身のハビャリマナ大統領の乗る航空機が撃墜された事から起きたが、つい先日ハイチの大統領が暗殺された。既に傭兵十数人が捕まっているが、真相はこれからだ。この暗殺で思い出した映画がある。ハイチ、ドイツ、フランス、ベルギーによって2000年に作られた「ルムンバの叫び」だ.1960年にベルギーから独立を勝ち取ったコンゴの大統領ルムンバの伝記映画だ。これも秀作。今まであげた映画はDVDのレンタル屋にある筈。

◯月◯日/日本には川と呼ばれるものが確か30,000あるとの記憶だが名無しの川はまああるまいと思う。ところが世界は広いもので、イギリスには名前はあるのだがその読みが違うととて争っている所がある。英国東部の「nene」川がそれ。これを上流のノーサンプトンでは「ネン」と呼ぶ。然るに下流のピーターバラでは「ニーン」と発音する。両方とも我が読みが正しいとガンバッテ、論争は何百年も続いていたが、今年5月末にそれでは「クロッケー」で決着をつけようとなった。

◯月◯日/この「クロッケー」調べてみたら「croguet」なるフランス語で、芝生の上で木製の球をマレット(木づち)で打ち、、数個のフープ(鉄門)を次々にくぐらせて得点を競う球技とある。私はやった事もする気もないが、つまりはこれ「ゲートボール」だわ。でこれで勝った方が1年間自分側の読みで言うとなって、以後1年間は「ネン」となったと。つまりノーサンプトンが勝った訳だ。

◯月◯日/これ書いている今日は7月15日(木)だが、朝刊に東京コロナ感染1149人。五輪バスの乗務員の宿舎は個室にシャワー、トイレ、洗面所ナシetc、でとてものこと3密どころではないetcとある。又、バッハとスガが会見したともある。この文章が出る頃にはオリンピックが終わっているか、続いているのか知らないが、ー思い出すのは前回のブラジルオリンピックでの色々。この時ブラジルの警官達は「welcome  Bragil」の横断幕をかかげながら、「給料払え」のストをやった。オリンピックを控えているのに給料が、遅配だったのだ。

◯月◯日又始まった途端にオリンピックのためにブラジルに来ていたポルトガルの教育相が強盗におそわれた。と思ったら試合を終えたベルギーのレスリングの選手が海岸を散歩していて、これも強盗にやられた。もっとも、暗いニュースばかりでなくて感動させられる話一つ二つあって、その一つは女子柔道で金メダルを取ったケルメンティがコソボの選手っだった事。コソボといえば、旧ユーゴスラビア紛争の現場だった所だ。ところで、この6月初め、ムラディッチなる男が、オランダハーグの国際法廷で終身刑の判決を下された。

◯月◯日/このラトコ・ムラディッチは元セルビア人武装勢力の司令官で、95年にスレブレニッツアで起きたイスラム教徒8000人を虐殺した事件や、「サラエボ包囲」で市民を攻撃した時の司令官だった。で結局、1992年から95年にかけてのボスニア・ヘルツェゴビナ内戦のジェノサイド(皆殺し)の罪に問われてたと言う訳だ。ムラディッチは現在79歳。この事に関心を持たれた人は,是非、多谷千香子著「”民族浄化”を裁くー旧ユーゴ戦犯法廷の現場からー」(岩波新書、2005年刊,¥700+税)を読んでほしい。多谷千香子はこの国際法廷で判事として実際に審理を担った人でこの本の第4章に「コソボ論争の種は蒔かれた」なる一節がある。

◯月◯日/ブラジルのオリンピックでマリオだかの格好をして福島は「アンダーコントロールだ」と出まかせを吹いて来たのは「満身嘘男」の安倍だが、そのおかげのオリンピックで今、日本は混乱の極みだ。「読売」の調査ではスガの支持率は28%、五輪は「中止すべき」だは都民で50%、またフランスの世論調査会社「IPSOS」の調査では世界28カ国の内、五輪反対は57%、日本は78%と出た由。

◯月◯日/こうした事を知ってか知らずか14日にフジテレビの「目覚まし8」なる番組で(と言っても私は見た事がないが)お笑い芸人(女性)が「中止してほしいという言葉選手に聞かせたくない。開催決まっている以上は全力で応援してあげないと」と発言したと。するとこれを受けた司会の谷原章介が「そういう雑音は耳に入れたくないですね」と言ったと朝刊にある。

◯月◯日/読んで思うに、この二つの発言、これは安倍や麻生、スガと同じだわということ。安倍は極右の雑誌「HANADA」で「五輪に反対しているのは反日の連中だ」と言ったと報じられたが、この司会者は「雑音」ときた。何様のつもりでいるんだろう。前にもタレントの「アイヌ差別」発言があって、その時にも、小樽出身の加藤とかいう司会者が、それを止めも、とがめもしなかった。彼といい、これといい、タレントの司会者の質が悪すぎる。何かについて発言する時は勉強してから言ってくれなくちゃな。感じで言われちゃよくない。東大の目加田教授(女性)が前に、「無学のタレントのコメントは困る」という意の発言をしていたが、至極もっともだ。こういうと、すぐに「上から目線」と言って反発が出るが、再度いうが、上でも下でもなく、何か物言う時にはよく調べてから言わぬとだめだということだ。無知の発言は誤ちを増やすだけだ。タレントが悪いのではなく、目加田の言うように「無学」なのが困るということだ。この「無学」というのは安倍、麻生、スガにも通じる点で、さらに悪いことにこの連中には「無恥」も加わるけどね。

◯月◯日/「選択的夫婦別性」について、内閣府のアンケート調査では国民4割が容認という結果が出ているのに、安倍以下「日本の伝統にそぐわない」という保守派の連中で、司法がまたこれを許さない。だけど、これ本当に「日本の伝統」か。どの解説記事でも、これに関して先ずは、と「日本書紀」を持ち出す。「日本書紀」とくると、私は、日常的に「宇治谷(うじたに)孟(つとむ)全現代語訳・日本書紀」上下(講談社学術文庫1988年刊@¥1150)を使っているが、こんな古典は、いくら現代語訳と言っても面倒でイヤだ、という人に薦めたい本がある。

◯月◯日/ 藤井青銅「”日本の伝統”の正体」(新潮文庫令和3年1月1日刊、¥590+税)だ。その第2章が「家庭の中の”伝統”」で、その第2節目が「夫婦同姓は伝統か?」だ。結論を言うと、昔は「夫婦別性」、それが「夫婦同姓」に変更されて約120年たったと藤井は言い、これに異をとなえる「選択的夫婦別姓」が議論されてから約50年だという。このあと藤井は(長すぎないか?)と足す。つまり、伝統でも何でもないのだ。保守を名乗る連中はすぐに「日本の伝統」を持ち出す。「正座」も「元号」も「武士道」も皆伝統だと言う。しかしその殆どがアヤシイというのが藤井の結論だ。しかし「国体」はじめ諸々の伝統を一番裏切っているのは「天皇」をないがしろにし、「米国」だけにすがりついている安倍じゃないのかね。これ売国というんじゃないのかね)安倍じゃないのかね

2021.7.16寄稿

( 東京コロナ感染1,308人と朝刊にある)

 

 

司書独言(231)

◯月◯日/ 5月23日、米の絵本作家エリック・カールが91歳で、マサチューセッツ州、ノーサンプトンの自宅で死去した.20余年前の事。私が室工大を定年になった年の6月に市立図書館に呼ばれて直ぐの頃、私の部屋で「読み聞かせの会」の女性達が8人程で打ち合わせ中で、丁度エリック・カールの話を始めた所だった。私は話には加わらず自分の机に座っていたが、その時私を訪ねて未知の女性が入ってきたが、その人を一目見て私は呆気にとられた。何故って、その女性は170cmはありそうな長身でかつ細身で頭にグリーンのターバンを巻き、スーツも上下グリーン一色のものだったからだ。わたしは本当に「はらぺこあおむし」が来たのかと思った。その人が来たのはこれっきりだからその名も用件も忘れてしまったが、うるさがたが揃っている「読み聞かせの会」の面々が一瞬どよめいたあと黙りこくってしまったことだけは今尚忘れていない。もっとも当の女性にしてみれば何故どよめいたのかは、思いもつかなかったろう。

◯月◯日/ この欄で今迄数度世界に共通するサッカーファンの行儀の悪さについて触れ、直ぐに騒ぎまくるファンは是非この本を読んで少しは勉強してくれと、陣野俊史著「サッカーと人種差別」(文春新書¥750+税)もすすめてもきた。ところが、5月29日ポルトガルの北部の都市ポルトで行われた男子サッカーの欧州クラブトップを決める決勝戦で又もや問題が起きた。この決勝戦を戦うのは共に英国のチームで、チェルシーとマンチェスター・シティ。コロナの最中、これを応援しようと英国人ファンが60機のチャーター機でポルトガルに来たと言うからすごい。

◯月◯日/ スタジアムの16,500人以外は街頭に出てマスクを無しで飲んだり、食ったり、騒いだりとなってこれを許した政府に非難が集中した。そして左派の党首マルティンスが「自国の市民に認めなかったイベントを他国民に許すとは理解し難い」と表明した。もっともだ。

◯月◯日/ 実はこれ迄は前置きで書きたいのはこれから。去年10月に封切られた「キーパー・或る兵士の奇跡」なる英独合作の映画がある。実話だ。第2次世界大戦で英国の捕虜となったドイツ兵バート・トラウトマンは実はキーパーの名手だ。その腕前を捕虜収容所で或る日偶然発揮する。これを地元のサッカーチームの監督が見て捕虜の身分のままスカウトして試合に出す.するとこれ又試合ぶりを見た名門マンチェスター・シティの監督が引っこ抜く。然し、マンチェスターはユダヤ人が多い町だから、ナチスの軍隊にいたトラウトマンへの怒りと攻撃が凄まじい。となるとドイツ敗戦後マンチェスターに残ってサッカーを続けるトラウトマンの運命やいかに??と相成る。実にいい映画だ。反戦映画の傑作と言ってもいい。

◯月◯日/ 周知のように大阪なおみの発言が注目されている.これに女子シングルスで4大会通算23度優勝のセリーナ・ウイリアムズが「大阪の苦しみがどんなものか私は知っているからなおみをハグしてあげたい」と発言。このセリーナが第1子の妊娠を発表した時、ルーマニアの女子チームの代表監督(男)イリ・ナスターゼから「どんな色の子が生まれるのか」とからかわれ、この余りの人種差別のひどさに「国際テニス連盟」が調査に入ったことがある.2017年の4月の事だ。この男といい、IOCのバッハといい「何様」のつもりの馬鹿が多すぎる。

◯月◯日/ 映画といえば「在りし日の歌」なる中国映画もそうそうない傑作だ。去年の4月封切り。中国は人口抑制で1980年代に「一人っ子政策」を採った。映画は2番目の子を妊娠した女を親友が当局に密告して、無理やり堕胎させられてしまう事から起こる悲劇だ。登場人物皆悲しみ極まるという面持ちで生きていて、観る方にも人生が抱える悲しみが迫ってくる。ところが中国はこの5月の末に、一組の夫婦は3人まで生んでいいとの方針に踏み切った。勝手なもんだ。

◯月◯日/ ナニシロ、今の中国は一人っ子政策が裏目に出て、20代から40代では男が1,700万人余っている。つまり女が圧倒的に少なく、結婚したくとも男は相手がいないのだと言う。それを踏まえて今度は「3人生め」となった訳だが、前は産むな、今度は産めダナンテ「人間は機械じゃないわ」との反発が広まっているという。もっともだ。戦争最中のナチスも日本も「お国のためだ、産めよ、増やせよ」とやったが、それにウカウカ乗ってしまった人達は戦争に負けて、何一ついい事はなかった。国民皆そうだが。今も昔も国の言う事を聞いてはならぬ、という事を国民皆肝に命ずるべきだ、と私は思うがね。

◯月◯日/ 太平洋戦争中、汽車に乗って伊達の方から室蘭に向かう時、オコンシベ(今の黄金駅)を通る辺りから乗客は海側の木製のシャッターを降ろさねば成らなかった。室蘭港が一応軍港扱いで、国民が港内の様子(軍艦が入港しているか、工場では煙をだしているかなどを)を見たり、話したりしてはいけなかったからだ。又今では信じがたい事だが、室蘭郵便局(海岸町の本局のこと)の屋上には探照灯が設置されていて、戦争が始まるまでは近所の子供達はそこに上がって遊ぶ事が出来たのにそれも禁止された。この探照灯、空爆でB29が飛んでくると、それを狙って照らし始め、B29の姿が夜空にはっきりと写し出されると、高射砲が火を噴くーと言った具合で、子供の時の記憶では,その弾が届かない。B29のかなり下の所ででポンポンとはじけてしまって威力はなかった。

◯月◯日/ 函館山も今のロープウェイがある所は登山が禁止された。山へ登るもダメ、海側を見るもダメとは何故かとなれば、戦時中には「要塞地帯法」があって、港や飛行場や軍需工場などを写したり描いたり、それについて喋ったりする事を禁ずる「軍機保護法」とセットでこれを犯す市民を監視し罰した。前々前回の「あんな本こんな本」で北大生の宮澤弘幸が旅行中に聞いた飛行場のことを北大英語教師のレーン夫妻に喋ったことで懲役15年を科せられた事件を語ったが、宮澤は上記の2つの法律に引っかかった訳だ。ところで、今米軍や自衛隊の基地や原発周辺の住民を監視し、土地の売買や利用を規制する「土地利用規制法案」が成立しそうだ。これ昔の「要塞地帯法」によく似ているという。恐ろしい。「写メッチャオウ」なんてカメラかまえる小父さん達もこの法案に注目したほうがいいぞ。

◯月◯日/ 1億5千万円事件で議員を辞めざるを得なかった河合案里が、ろくに議会にも出ないくせにもらった議員給料を返せと広島市民が訴えた事件で、裁判所がこれを却下した。この裁判官連中何を考えてんのか。これに関して二階が「政治と金は綺麗になった」と発言した。このキビッチョ口(キビッチョ=急須=口とんがらかし)男も毎回毎回何たることを言うのか。地元民もこんな男に何故一票入れるのか。

◯月◯日/ いやあ驚いた。豊胸手術というのは聞いていたが。それには「豊胸シリコンバッグ」なるものを胸に埋め込むのだそうな。ところが、それに安い工業用シリコンが使われていて、これが老化して破裂する事件が相次いで、英仏などの女性2,700人がドイツの「製造安全認証会社」のテュフラインラントを訴えているそうな。その結果同社に賠償を命ずるとの判決がこの5月末に出たのだが、同社は上訴するという。ナニシロ、バッグが破裂するとシリコンが身体中に広がって、胸、腰、頭と激痛が走るというからたまったもんではなかろう。バッグを作っていたのはフランスの「ポリ・アンプラン・プロラーズ」なる会社。私の知り合いの女性はバスト98㎝だが、いつぞや東町のシブチンの外科にどこか痛くてかかった所、医者から「こんなすばらしい胸は見たことがない。だけどここにしこりがある。先生がきれいにとってあげるから」と言われたけどどうしたもんだろうと、その医者と旧知の私が相談されたことがある。私はあれはヤブだから止めとけと答えたが、今その医者は天国(地獄か)に行って98cmの方はナントモナクピンピンしている。このヤブ医者も工業用シリコン並だなあ。

◯月◯日/ おっぱいの後で何やら妙な気がするが、ポコチンのことを書く。昔「皮かむり」と言う言葉があった。いわゆる「包茎」のことだ。この包茎を歴史的観点から書いた本を東京経済大学の渋谷知美準教授が書いたので注文したがまだこない。この先生が言うには、あの高須クリニックのヤブ医者、あの何故か知らないが、ヘリの中で何故か知らないが、色んな国の美男美女と会議をして見せ、最後に一言OKで済ませるあのインチキくさい高須は私は美容の方だと思っていたが、まあそっちもするんだろうがナント包茎専門の医者ナンダト。しかもこの医者、男性雑誌に知り合いの女に頼んで「包茎って嫌い」だの「包茎って不潔」だのと言った投書をさせて、これを見て不安に駆られた馬鹿な男たちが包茎手術をしたくなるようにしむけていたという。

◯月◯日/ 高須は今「、あいちトリエンナーレ」に関して,偽署名の件で疑われているが、偽投書も似たようなものだ。「人の褌で相撲を取る」とは「他人の物を利用して自分の目的を果たそうととする事」だが、この男は「人の皮」でヘリに乗っている訳で大した狸だ。どこまでも欲の皮のつっぱった男だか。ここで思い出したのはこれも死んでしまった千歳町のこれまたシブチン泌尿器科の先生は、「包茎」をチョチョ切った先端の皮(と言っても私は見た事がないが)を日干し(だろうと私は思うが)にして指輪状になった物をキャバレーに行くと女給たちにチップ代わりに配って人気があったという。しかし、これ切られた方からすれば「所有権の侵害」ではあるまいか。この医者「アリナミン」だったかの会社が、使用した量によって医者をハワイに招待とやった時。ドラム缶だかに「アリナミンを仕入れて患者に食わせるほどに配ったという噂があった。真偽の程は知らん。

◯月◯日/ おっぱいでで倍賞美津子を思い出した。最初に観たのは「喜劇・男は愛嬌」(だったのではないか)で、少年院帰りの美津子が出所の手続きで、係員が拇印が要るよというと「あーボインか」と言ってセーターを脱ぎにかかる「そうじゃないよ。ハンコだよ」と言われてチラッと見えかけた”おっぱい”をしまう。この場面の乳房の威力はさほどでもなかったが、それから10年ほどして「復讐するは我にあり」に出た時はすごかった。殺人魔の緒形拳の相手役で、後ろから緒方が乳房露な美津子の「おっぱい」を揉みしだく。この時美津子は、レスラーの猪木と結婚していたが、その乳房はまさに豊満だった。

◯月◯日/ おっぱいはともかく、この映画は犯罪映画の傑作だった。原作は佐木隆三で、佐木はこれで直木賞を取った。西口彰と言う実在した稀代の殺人魔が主人公のモデル。読んでも見ても実に恐ろしかった。ここで思い出したのが西村望のドキュメンタル・ノベルの「鬼畜ー阿弥陀仏よや、おいおい〜」(徳間文庫、1981刊)この頃はあまり読まれていないようだが、この作家の書く物は殆ど犯罪小説で、実録も多い。この「鬼畜」も高知県生まれの梶尾卯吉なる実在の人物がモデルで、とにかく生涯、犯し、殺しの連続だ。恐怖にかられながら読み終えて、月並みだが「人間なるものの不可解さ」について考えさせられる。西村望の実録小説は皆すさまじい。

◯月◯日/ コロナワクチンで13:30に来いと言われて昨6月7日医院に行ったところ、ワクチンがまだ届いていなくて1時間ほど待たされた。プシュとやられて帰ってきたが、夜中言われた通り左腕が上げ下げする時多少痛かったが、後はなんともなかった。行った時、医者が「今日はどうしたんですか?」と聞くから、「コロナで来いと言われたから着た」と言うと「エッ、コロナですか、ワクチンあんのかな」と知らないでいた。看護士はナニモ伝えてないのか。ワクチンの副作用より、こっちの方が心配だ。

2021年6月8日寄稿

山下敏明