第187回 仕掛け絵本と不思議な国のアリス

`01.9.1(土)寄稿

去る8月30日(木)、200名余の小学生相手に1時間、話をした。題して、「僕もほしいな○本、私も読みたい△本」。場所は本室蘭小学校体育館。同校、開校120周年の記念行事だ。

私の話はともかく、特筆すべきは、会場の雰囲気。祭典気分、満天で、心から多くの人に見て欲しかった。これ、全部、柴口さんを中心にしたお母さん達の力のたまもの。それに、外部からの協力者として、白鳥台で「たんぽぽ文庫」を開いている、安藤さんと仲間の結束、もう一つ言及しておかねばならぬが波の端小学校の木下先生と図書ボランティアの人達の心からなる援助。etc。 続きを読む 第187回 仕掛け絵本と不思議な国のアリス

第186回 隠語大事典と国語大辞典

`01.7.31(火)寄稿

今の時期、室蘭は「祭」の季節だ。もっとも室蘭ばかりではない。先日、日曜日、苫小牧の自主映画劇場の「シネマ・トーラス」ヘ、イタリア映画の「マレーナ」(ヒロインを演じるモニ・ベルッチは「豚に真珠」イヤまちがった「イタリアの宝石」と言われるモデル出身女優。いい女です。)を観にいったら、途中の白老でも、漁港祭とやらで「ビーチバレー」をやっとたし、苫小牧も港祭りで、、、そのせいか、映画館は我れら夫婦のみで、貸し切り状態。帰路、目も疲れたので、錦町の「万歳湯」に入ったら、こちらも山の湯よろしく閑散としておった。 続きを読む 第186回 隠語大事典と国語大辞典

第174回 褌の話と賢治の音楽

`00.11.30寄稿

大分前になるが、「あんな本・こんな本」で新穗栄蔵著「ふんどしの話』(JABB出版)を取り上げたことがある。新穗さんは、千歳市在住の矍鑠(かくしゃく=年老いても丈夫かつ元気なこと)たる御老人で、ナニシロ、ベルリンだかで開かれた水泳大会にも「赤褌」で出場し、ナントカ級で第一位金に輝く(と言っても出場者は他にいなかったいううが、)実績を持った人で、その身につけた「赤褌」が、外国の審査員の間で問題になったときも「これは日本の伝統水泳着であると押し切ったひとだ 続きを読む 第174回 褌の話と賢治の音楽

第181回 翻訳の力

`01.4.18寄稿

大学1年の夏休みの宿題にとて、ウイン先生から「シンクレア・ルイス」(Sincla Lewis、1885−1951,アメリカ)の代表作「Main Street」を読んでくるように言われた。

張り切って訳しにかかって、とにもかくにも大学ノート何冊かにまとめたが、ちゃんと読めたのかとなると、とてものこと自信がない。大体、辞書に出てこない言葉が次から次と〜と言う感じで途方にくれたが、後年(1971年)、斉藤忠利の訳で出た岩波文庫本、全3巻の「本町通り1 」を読んで、成程なあと了解したのは、いわゆる俗語(スラング)の頻出(ひんしゅつ)が、読者を悩ませるもとだったのだ。

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  1. シンクレア・ルイス斉藤忠利訳.本町通り.岩波書店 (1970) []

第180回 フランスロマン派文学

`01.3.30寄稿

「貴方、『エルナニ』って御存知?」「エッ、ナニ?」「エルナニ!!」「エッ、それナニ?」。こりゃだめだ。

「エルナニとはね、ヴィクトル・ユーゴー作の戯曲の名前な。」「ユーゴーって、あの『レ・ミゼラブルーああ無情1』を書いた人?」

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「そう、読んだことがなくても、アンリニークインやジーナー・ロロブリジーターの出演になる『ノートツダム・ド・パリ』位観たことあるでしょ。ユゴーはね、文学的には『ロマン主義文学』と言われる文学運動の一派の。まあ、親玉みたいな人だった。そのユーゴーが自分達『ロマン派』の前に立ちはだかる『擬古典派』と呼ばれる大家達を打倒すべく作りあげたのが『エルナニ』なの。」 続きを読む 第180回 フランスロマン派文学

  1. ビクトル・ユーゴーレ・ミゼラブルーああ無情.講談社(1989) []