第279回 文字の持つ功徳「代償行為」

`08.11.21寄稿

田母神なる男が、空幕長と言うエライ地位にいた時に,懸賞論文で「我が国が侵略国家だと言うのは濡れ衣だ」と主張して,物議をかもした。この男は既に統合幕僚学校長というエライ地位にいた時に「統幕学校講座」なるものを作って、これは「歴史観、国家観」を講ずるもので,そこで講師を勉めた6人の中5人が明らかになり、その中3人が「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーで、大学教授だったそうな.この会は扶桑出版の中学歴史、公民教科書を主導した会で,会長は八木秀次高崎経済大の助教授だが,副会長は藤岡信勝拓殖大教授.この2人が内部対立を起こして2人共辞任したが、その時の八木の弁は「事実上の解任で,藤岡氏に私が追放された」だった。 続きを読む 第279回 文字の持つ功徳「代償行為」

第293回 加島祥造の「求めない」は諦め

`10.1.3(日)寄稿

私が室工大勤務の頃の話だから、もう14,5年前の事になろうか,福井大学から中国人の留学生が流れて来た.流れて来たとしか思えなかったのは,この男「気功」をやるとの触れ込みで,おまけに墨絵を描く,,,が,,その墨絵たるや、墨をたらして、にじんで広がっていくその様を観る側が、これはを描いているのか、と決めればいいという、まあー一種の連想画とも言うべきもので、私は聞いていて「ロールシャッハーテスト」のインチキ臭ささを連想したものだ。 続きを読む 第293回 加島祥造の「求めない」は諦め

第292回 上手なビジネスは最高のアート・福原一族

`09.12.16寄稿

太田黒元雄(1893〜1979)と言う名前を知っている人は,今どのくらいいるだろう。私より上の年配の人ならば、音楽評論の先駆者たるこの人を覚えている人もいるかも知れない。ロンドン大学中退のこの人は,評論雑誌「音楽と文学」を1916年に刊行して近代音楽の紹介につとめた。私の棚にも,ベッカーの「ベートーベン」やシューリッヒの「モーツアルト」などがある。だが,この人は,実は音楽だけではなく,写真にも手を出していた。属していたのは「写真芸術社」なる団体で,これを設立したのは福原信三(1884〜1948)で,大正10年(1921)のことだった。同人には福原露草(1892〜1946)掛札功(変わった苗字だ)などがいて,月刊誌「写真芸術」を出した.信三と露草は兄弟でこれ,誰あろうか?かの化粧品・資生堂の二代目とその弟なのだ。 続きを読む 第292回 上手なビジネスは最高のアート・福原一族

第191回 現世の謳歌文学「ルバイヤート」

`01.11.16(金)寄稿

いつ頃流行った歌だったか、調べずに書くのは、申し訳ない話だが、「俺は死んじまっただあ〜」と言う歌い出しの歌があった筈。タイトルも正確に覚えておらんし、このあとどう続くのかも判然とせぬが、確か「天国いいとこ一度はおいで、酒もうまいし,姐チャン(ねえんちゃん)もきれいだ」てな文句があったのではないあかしらん。 続きを読む 第191回 現世の謳歌文学「ルバイヤート」

第190回 グレアム・グリーン「第三の男」秘話

`01.10.31(水)寄稿

この頃のブッシュ,,,と言っても、bush=草むら、の事ではなくて、アメリカで一番偉いらしいブッシュのことだが、そのブッシュの言動も見ていると妙に、一人の作家を思い出させられる。その作家とは、Graham・Greene(グレアム.グリーン1904-1991)のことで。どうしてグリーンを思い起こすかと、言えば、グリーンは、カトリックを奉ずる作家であったけれど、1950年からこっちは、東南アジアや、南米での正義を振りかざすアメリカのやり方をはっきりと批判する態度に出て、世界情勢に明確な態度を取った人だったからだ。そうした態度から生まれた作品が映画にもなった「静かなアメリカ人1 」だ 続きを読む 第190回 グレアム・グリーン「第三の男」秘話

  1. グレアム・グリーン,静かなアメリカ人.研究社出版(1958) []