第174回 褌の話と賢治の音楽

`00.11.30寄稿

大分前になるが、「あんな本・こんな本」で新穗栄蔵著「ふんどしの話』(JABB出版)を取り上げたことがある。新穗さんは、千歳市在住の矍鑠(かくしゃく=年老いても丈夫かつ元気なこと)たる御老人で、ナニシロ、ベルリンだかで開かれた水泳大会にも「赤褌」で出場し、ナントカ級で第一位金に輝く(と言っても出場者は他にいなかったいううが、)実績を持った人で、その身につけた「赤褌」が、外国の審査員の間で問題になったときも「これは日本の伝統水泳着であると押し切ったひとだ 続きを読む 第174回 褌の話と賢治の音楽

第181回 翻訳の力

`01.4.18寄稿

大学1年の夏休みの宿題にとて、ウイン先生から「シンクレア・ルイス」(Sincla Lewis、1885−1951,アメリカ)の代表作「Main Street」を読んでくるように言われた。

張り切って訳しにかかって、とにもかくにも大学ノート何冊かにまとめたが、ちゃんと読めたのかとなると、とてものこと自信がない。大体、辞書に出てこない言葉が次から次と〜と言う感じで途方にくれたが、後年(1971年)、斉藤忠利の訳で出た岩波文庫本、全3巻の「本町通り1 」を読んで、成程なあと了解したのは、いわゆる俗語(スラング)の頻出(ひんしゅつ)が、読者を悩ませるもとだったのだ。

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  1. シンクレア・ルイス斉藤忠利訳.本町通り.岩波書店 (1970) []

第180回 フランスロマン派文学

`01.3.30寄稿

「貴方、『エルナニ』って御存知?」「エッ、ナニ?」「エルナニ!!」「エッ、それナニ?」。こりゃだめだ。

「エルナニとはね、ヴィクトル・ユーゴー作の戯曲の名前な。」「ユーゴーって、あの『レ・ミゼラブルーああ無情1』を書いた人?」

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「そう、読んだことがなくても、アンリニークインやジーナー・ロロブリジーターの出演になる『ノートツダム・ド・パリ』位観たことあるでしょ。ユゴーはね、文学的には『ロマン主義文学』と言われる文学運動の一派の。まあ、親玉みたいな人だった。そのユーゴーが自分達『ロマン派』の前に立ちはだかる『擬古典派』と呼ばれる大家達を打倒すべく作りあげたのが『エルナニ』なの。」 続きを読む 第180回 フランスロマン派文学

  1. ビクトル・ユーゴーレ・ミゼラブルーああ無情.講談社(1989) []

第179回 スティーヴンスンによる龍馬と吉田松陰

`01.3.9(金)寄稿

「アマゾン.ドット.コム」なる企業がある。インターネットや電子メールで最初は本を売っていたが、今や急成長して、CD.ビデオ.DVD.おもちゃ.ゲームまで売りまくっている。お客は世界200ヶ国に2900万人いる由.そこが札幌に出店して来た.世界で9ケ所目だ。

ところで「テクハラ」なる言葉を御存知か?「セク」では無いぞ。「テクハラ」とは年若なのが、機械をいじれぬ、或いはこなせぬ中年以上を「何でこんなこと出来ないの!」といびることを言う、、、由。先日「ドットコム.どこが混むのと聞く上司」と言うのが「サラリーマン川柳」で入選したが、これも、案外「テクハラ」の部類じゃアンメイカ。 続きを読む 第179回 スティーヴンスンによる龍馬と吉田松陰

第178回 イギリス女流作家の本

`01.2.16 (金)寄稿

先頃、沼の端小学校の図書ボランテア代表の石本景子さんから、ジェーンオーステイン作「エマ」に関する質問が来た。石本さんは表面には出さぬが、本も良く読み、映画もしっかり観ている人で、話をしていると、言うなれば“お〜、おぬし、読んでるのう、おや、汝観てるのう、やるじゃねーの”とこちらが内心つぶやきたくなるような人なのだ。そんな石本さんに答えよう、禄ている矢先に、図書館常連の小林さんが、私に9本ものビデオを貸してくれた。9本の中に、6 本がオーステイン原作のものだった、ナンタル偶然か!!  と今度は、苫小牧ストリ−ラリング勉強会代表で、好学の墨谷真澄さんが、朝日新聞の2月2日付け(夕刊)に出ていたとて、東大教授.岩井克人の「小説.高慢と偏見」と題する文章のコピーを送ってくれた。 続きを読む 第178回 イギリス女流作家の本