司書独言(108)

`10.8月寄稿

○月○日 我が庭でアジサイが花盛りだ。3種類ある。「墨田の花火」などといい名だが、無論品種改良でつけられた名だ。花の色が変化するから、七変化と言われ、化花(ばけばな)幽霊花(ゆうれいばな)などとも呼ばれるが、私としては頓着無しだ。アジサイは湿気を好み、水気青を吸うから、昔は脚気の病人の病室に吊るした。脚気は水気を取れば治ると信じられていたからだ。アジサイを紫陽花と気取って書く人がいるが、これは間違いだ、と植物学者・牧野富太郎が指摘し、私も「本の話」で取り上げたことがあるが。この常識、万人に行きわたったようには思えない。 続きを読む 司書独言(108)

第301回 人間通シムノンとメグレ警視

`10.09月寄稿

もう30年も昔の話になるが、室工大勤務中に、水元小学校の6年生が図書館見学に来た。中に1人結構本を読んでいると感じさせる物言いをする男児がいて、その子が質問の時間になって訊くには、「世界で一番売れている本はなんですか?」と言うものだった。 続きを読む 第301回 人間通シムノンとメグレ警視

第300回 歌と戦争

`10.8月寄稿

7月24日(土曜日)の「第18回ふくろう文庫ワンコイン美術講座」のテーマは、柳宗悦(やなぎむねよし)だった.柳とはもちろん「民芸」の創始者で、民芸とは「衆的工」を縮めた言葉だ。 続きを読む 第300回 歌と戦争

司書独言(94)

`09.6.20寄稿

○月○日「〜本を取り落としてしまう程笑いころげながら読み進むうちに〜」なんて文章を綴る書評家が結構いるが、私は原則としてそう言う大袈裟な表現は使わないことにしている。しかし、このニュースは大いに笑った。 続きを読む 司書独言(94)